平成17年度
北朝鮮3紙年頭社説 敵視政策の変更要求 対米批判は抑える

我が祖国と革命の歴史に特記される慶事の年、党創建60周年と祖国光復60周年となる、希望に満ちた新年が明るくやって来た。
今、我が軍隊と人民は党と革命の栄えある勝利の歴史に対する感慨深い追憶と富強祖国の明るい未来に対する大きな楽観を抱き、新年の荘厳な進軍路に入っている。
昨年、主体93(2004)年は政治思想・反帝軍事・経済科学の三大戦線において革命的攻勢を展開し、強盛大国建設で新たな勝利の突破口を開いた誇らしい闘争の年であった。
昨年は革命の首脳部の周りに固く団結し、偉大な首領金日成同志が開拓された主体革命の一筋をそれることなく進もうとする我が軍隊と人民の信念と意思が力強く誇示された。
歳月が流れれば流れるほど、偉大な首領様をさらに偲んで高く仰いでいる我が軍隊と人民の純潔な道徳義理心が熱く噴出した。
昨年は、主体の永遠の太陽である偉大な首領様の不滅の革命生涯と業績を一層深く心臓に刻み、革命の首脳部の嚮導に従って赤旗を守り、たくましく戦ってきた日々を堂々と総括した歴史の年として記録された。
全党と全社会の主体思想化の旗印を高く掲げ、労働党時代の輝かしい全盛期を広げた1970年代のように生き、闘争しようとする非常に高い政治的熱意が全国に溢れた。
我が党の先軍政治の威力が力強く誇示され、党と軍隊と人民の一致団結が百方で強化されたことは、他の何にも換えることができない高貴な成果である。
昨年は社会主義経済建設と文化建設において誇らしい成果が収められた。
電力工業や鉄道運輸をはじめとする人民経済の重要戦線では、近年見ることができなかった生産的高揚が起こった。
党の種子革命方針の貫徹で大きな成果が収められ、大規模土地整理と自然流れ式水路工事が積極的に推進され、先軍時代における農業革命の丈夫な土台が用意された。
試練の中で艱苦奮闘しつつ、種を蒔いて育ててきたあらゆることが随所で結実する稀有な現実は、我が人民に強盛大国の未来に対する信念を一層培わせている。
人民軍で創造された革命的軍人文化が全社会に浸透し、どこへ行っても戦闘的気迫と熱情が躍動して、我々の闘争と生活は一層喜悦と浪漫が溢れるようになった。
我々式の生活様式と民族的伝統がしっかりと固守され、生活環境は社会主義の味が出て一層りっぱに変貌した。
昨年、我が軍隊と人民は米帝の悪辣な反共和国圧殺策動を断固粉砕し、先軍の威力で前進する社会主義朝鮮の気性を力強く轟かせた。
現実は、先軍の旗印の下に国の軍力強化に最大の力を注いできたことが千万回も正当であったということを明確に実証している。
昨年に我が軍隊と人民が成し遂げた誇らしい勝利と成果は、偉大な金正日同志の絶
対的な領導的権威と常勝の政治実力がもたらした輝かしい結実である。
敬愛する将軍様は、精力的な先軍革命領導によって社会主義守護と強盛大国建設のための闘争を勝利へ導かれた。
常に我が軍隊や人民と苦楽を共にしつつ、壮大な変革の設計図と奇跡創造の名案を示され、無限大の勇気を抱かせた敬愛する将軍様の賢明な領導は、全国に革命的攻勢の熱風が吹くようにした根本的な源泉であった。
人民軍において強盛大国建設の時代的模範と経験が創造され、随所で人民を喜ばる立派な成果が収められたことは、先軍を愛国の宝剣として堅持した偉大な政治家のみが繰り広げることのできる誇らしい現実である。
一歩一歩が勝利と転変で織りなされる敬愛する将軍様の老熟で洗練された領導は我が軍隊と人民に先軍の道に従ってこの地のすべての繁栄と幸福がもたらされるという確信を抱かせている。
主体94(2005)年は我々の革命と強盛大国建設偉業随行において偉大な転変が成し遂げられるようになる、誇らしい年である。
今年に我々は勝利者の大きな誇りと自負心を抱き、党創建60周年と祖国光復60周を盛大に記念するようになる。
偉大な領導者金正日同志は次のように指摘された。
「我が党は創建以来60年間、艱苦の闘争と誇らしい勝利の道を歩んでおり、歴史に長く輝く不滅の業績を成し遂げました」
今から60年前、偉大な首領金日成同志が祖国光復に続いて我が党を創建されたことは、祖国と革命、民族の前途に輝かしい新時代を開いた歴史的事変であった。
60星霜にわたる我が党の歴史は、主体思想の旗印の下に自主時代の革命的党建設の独創的な道を開拓した誇らしい歴史であり、最も艱苦な闘争の中で社会主義建設の世界的模範を創造し、反帝闘争の英雄的叙事詩を織りなした偉大な歴史である。
世の中には我が党のように偉大な首領、偉大な領導者を高く戴き、世紀を繋いで自らの革命的性格と伝統をしっかり固守してきた党、人民大衆と渾然一体になって峻厳な歴史の嵐を切り抜け、時代と革命、祖国と民族の前に永遠不滅の業績を積み上げて
創建60周年を向かえる革命的党はない。「トゥ・ドゥ」の深くたくましい根に基づき、主体型の革命的党創建偉業を輝かしく実現して、半世紀以上にわたってあらゆる難関と試練を切り抜け、我が党と軍隊、人民を勝利と栄光の一筋へと導かれ、祖国と民族の尊厳と地位を最上の境地に高められた偉大な首領金日成同志の革命業績は万代に長く輝くであろう。
我が軍隊と人民が敬愛する金正日同志の指導の下、先軍の威力で民族の尊厳を高く轟かせ、主体革命の新時代を輝かせていく誇らしい闘争の道で党創建60周年と祖国光復60周年を迎えるようになることは、特記すべき政治的事変となる。
 敬愛する将軍様の40星霜余りの革命領導史があることによって、我が党が永遠に偉大な金日成同志の党として輝き、我々の革命の百戦百勝の歴史は世紀を繋いで力強く続くようになり、我が人民も首領の思想と偉業を忠実に仰ぐ革命的人民として育つよ
うになった。
我が党の60年の歴史において、去る10年間は最悪の逆境を突き抜けて偉大な勝利と奇跡を成し遂げた不滅の年代期として輝いている。
先軍の旗印の下に首領永生偉業を輝かしく実現し、祖国と民族、社会主義の運命をしっかりと守護された敬愛する将軍様の不滅の革命実録があることによって、我が党の60年の歴史が一層輝き、我が祖国と革命の前途は限りなく洋々としているのであ
る。
党創建60周年と祖国光復60周年は、我が党の創建者であり建国の父である偉大な金日成同志の不滅の革命歴史と業績を限りなく輝かせ、党の先軍領導に従って主体の革命偉業を最後まで完成しようとする千万軍民の鉄石の意思を全世界に誇示する重要な契機となる。
我々は意義深い今年に百戦百勝の先軍の威力、革命の首脳部の周りに固く団結した一致団結の威力によって、強盛大国建設で飛躍の嵐を起こして行かなければならない。
今我々の前には、艱苦の試練の中で光明の明日を固く信じ、死を覚悟した決断の意思で固く誓った政治思想的・軍事経済的威力を総発動して、我々の革命発展の一大高揚期を開いて行く荘厳な歴史的時期が到来した。
全党・全軍・全民が一様に奮い立ち、先軍の威力で新たな革命的大高調を起こすことによって、党創建60周年と祖国光復60周年を我が党と祖国の歴史にかつてない誇らしい勝利者の大祝典として輝かせること、これが今年の我々の前に提起された総的な闘争課題である。
我々は、「全党・全軍・全民が一致団結し、先軍の威力をさらに高く轟かせよう!」というスローガンを掲げ、先軍革命の総進軍を力強く促して行かなければならない。
革命の首脳部の周りに千万軍民が一致団結した我々の革命隊伍の政治思想的威力を高く轟かせなければならない。
一致団結は朝鮮革命の根本であり、核兵器よりさらに威力ある必勝の宝剣である。 我が党の60年の歴史における最大の誇りは、最も強固な一致団結を成し遂げたところにある。
一致団結の根本核である革命の首脳部を決死擁護しなければならない。 我々の革命の首脳部が偉大な思想と戦略戦術によって祖国と民族の明るい未来を開き、首領決死擁護を生命とする千万軍民が首脳部の思想と領導を忠実に仰いでいるため、先軍革命偉業は必勝不敗である。
我々の革命戦士の心臓には、行く道が険しく火の風が吹き荒れようとも、偉大な金正日同志と最後まで生死を共にしようとする絶対不変の覚悟、将軍様に従う道では喜びも悲しみも試練も栄光であるという革命的人生観が熱く脈打たなければならない。
全党と全社会に、党の唯一的領導の下で一様に動く革命的規律と秩序を一層徹底的に確立しなければならない。
主体の先軍思想を基礎とした統一団結を瞳のように守護しなければならない。
我々の革命隊伍には、ただ主体の先軍思想だけが溢れるようにしなければならず、我々の一致団結は永遠に生死を共にする先軍革命同志の団結とならなければならない。
艱苦かつ峻厳な年代期ごとに党と革命隊伍の組織思想的純潔性を徹底的に固守してきた歴史と伝統を輝かしく継承しなければならない。
誰もが自己の首領、自己の領導者が第一であり、我が党の路線と政策が最も正当だという揺るぎない確信、革命の首脳部と一致団結、社会主義は永遠の運命共同体という革命哲学を心臓に深く留め、たくましく戦って行かなければならない。
 党の仁徳政治、広幅政治を具現して、偉大な領導者を親として高く戴いた我々の社会の革命的風貌を一層花咲かせ、党の社会階級的地盤を磐石のように固めて行かなければならない。
党の先軍革命路線を堅持して、国の軍事的威力を百方で強化しなければならない。偉大な首領金日成同志は先軍思想の創始者であり、我が党の先軍政治の基礎を用意された不世出の霊将である。
我々は先軍の旗印を高く掲げ、武装で祖国光復偉業を成し遂げられ、銃隊重視・軍事先行の原則で祖国と革命を守護して不敗の社会主義強国を建設された偉大な首領様の革命歴史を深く体得しなければならず、首領様の軍建設業績と伝統を輝かしく維持しなければならない。
偉大な首領様の先軍思想と領導を継承して深化発展させ、先軍政治方式を創造して人民軍を先頭に打ち出して反帝社会主義守護戦と強盛大国建設を勝利に導かれたことは、敬愛する将軍様の突出した歴史的功績である。
我々は偉大な金正日同志がタバクソル哨所で始め、艱苦の10年間絶え間なく先軍長征の道を続けて用意されたすべての業績と伝統、財富を主体革命の万年礎石、民族の第一の国宝として輝かせて行かなければならない。
人民軍は先軍革命の柱であり、主力軍である。
全軍が、「偉大な金正日同志を首班とする革命の首脳部を命をもって死守しよう!」というスローガンを高く掲げ、呉仲洽7連隊称号争取運動を一層力強く繰り広げ、最高司令官の第一決死隊、第一銃爆弾とならなければならない。
人民軍の中に、敬愛する最高司令官同志の命令一下に一つになって動く革命的領軍体系と軍風を徹底的に打ち立て、白頭山革命強軍の必勝の威力を力強く轟かせなければならない。
すべての将兵は熱烈な祖国愛と深い革命的同志愛をもち、峻厳な革命の道で血肉も共に分け合い、一つしかない祖国のために二つとない命もためらうことなく捧げて戦う21世紀の李寿福、金グァンチョルとしてしっかり準備しなければならない。
党の訓練第一主義方針を高く掲げて戦闘政治訓練を激しく繰り広げ、透徹した思想と優れた戦法で敵に打ち勝つことのできる一当百の戦闘力を固めなければならない。
米帝の新たな戦争挑発策動を無慈悲に踏み潰せるよう、万端の戦闘動員体制を整えなければならない。
先軍時代の要求に即して革命化・社会主義愛国主義化を一層促し、革命軍隊の高尚な風貌を絶えず完成していかなければならない。
人民軍はすべての面で社会の手本となり、不可能を知らない革命的軍人精神で強盛大国建設の主要戦線で進撃の突破口を開かなければならない。
国防工業は国の軍事経済力の基礎である。
空地の上に始まり、艱苦奮闘の精神で固めた自衛的国防工業の威力を百方で強化しなければならない。
党の先軍時代経済建設路線の要求通り、国防工業に必要なすべてを優先的に保障しなければならない。
軍事を重視して人民軍隊を誠心誠意援護する我々の社会のりっぱな気風が一層高く発揮されるようにし、誰もが皆、人民軍隊の闘争気風と働きぶり、軍人品性を積極的に見習わなければならない。
いかなる侵略者も、無敵必勝の革命軍隊が守り立ち、決死の祖国保衛精神を抱いた人民がいて、全民武装化・全国要塞化が確固と実現された我が国の青い空と青い海、肥沃な土地には一寸たりとも触れることができない。
社会主義建設のすべての戦線で革命的大高調を起こし、党創建60周年と祖国光復60周年の今年に経済建設と人民生活向上において決定的な転換をもたらさなければならない。
今年は、我が軍隊と人民が党の領導の下に厳酷な試練と難関の中で希望に満ちた明日を見通し、艱苦奮闘してきた誇りをこの上なく大きな歓喜と激動の中に体験するようになる、事変的な年である。
先軍の旗印の下に用意された強盛大国建設の丈夫な土台に基き、1950年代の千里馬大高調時期のような前例なき生産的高揚を成し遂げることによって、今年の意義深い名節を盛大に慶祝し、全国を活気に溢れさせようということが党の意図であり、決心である。
今日の革命的大高調は、偉大な首領様が用意された大高調の歴史的伝統を繋ぎ、富強祖国建設において再び飛躍を成し遂げようとする全人民の強烈な指向と愛国的熱意の噴出であり、革命的軍人精神と21世紀経済科学技術発展の現実的要求を具現した、
先軍時代の新しい総進軍方式である。
我々には党の正確な経済建設路線と政策があり、「苦難の行軍」の逆境も笑いながら突破してきた英雄的な伝統と気質があり、さらに高く飛躍してさらに速く駆ける創造と建設の模範がある。
我々の一致団結の威力、革命的軍人精神の威力を最大に発揮して、我々の経済と科学技術発展のすべての潜在力を総発動する時、我々に占領できない要塞はない。
今年の社会主義経済建設の主攻戦線は、農業戦線である。
現時期、経済建設と人民生活が直面するすべての問題を成功裏に解決する基本的な輪は、農業生産を決定的に伸ばすところにある。
我々は今年、農業をよりよく行うことにすべての力量を総集中・総動員しなければならない。
全人民が今年の農業生産で根本的転換を成し遂げようとする革命的覚悟を持ち、すべてを農業に服従させ、農業部門に必要な労力と設備、物資を最優先かつ無条件に保障しなければならない。
農業部門では実践によって正当性が確証された種子革命方針、二毛作農業方針、ジャガイモ農業革命方針や豆農作業を適切に行う方針をはじめとする党の農業革命方針を引き続き徹底的に貫徹しなければならない。
多収穫品種を大々的に植えて農村に肥料と農薬を円満に保障し、先進営農方法を積極的に取り入れて農業の機械化比重を高めなければならない。
農業指導機関の役割を高めて農業生産に対する指導と管理を改善し、農業科学発展に力を注がなければならない。
白馬〜鉄山水路工事を操り上げ完工し、大規模土地整理事業の生活力が余すところなく発揮されるようにしなければならない。
今年、農業生産で転換を成し遂げようとするならば、党組織が農業部門活動家の事業を積極的に後押ししなければならない。
党組織と党活動家は農業部門活動家の中に深く入り、提起された問題を責任をもって解決しなければならない。
農村経理部門の従事者と農業勤労者は、農業をよりよく行うことが食糧問題を円満に解決し、人民生活を高めるための重大な政治的事業であるということを肝に深く銘じ、主体農法の要求通りすべての農業に主人らしい責任をもって、五穀百果が実る豊穣な秋をもたらさなければならない。
全党・全軍・全民が農村を労力的かつ物質的に力強く支援しなければならない。
電力・石炭・金属工業と鉄道運輸部門は大高調の先頭で気勢高く進まなければならない。
大規模水力発電所建設を促して操業期日を操り上げ、石炭生産を正常化して火力発電設備の能力を高め、電力生産を大きく伸ばさなければならない。
金属工業部門の労働階級は城鋼の模範に従って主体的な製鉄方法を積極的に取り入れ、鉄鋼材生産で画期的な転換をもたらすことによって、鋼鉄で党を擁護して仰いできた誇らしい伝統を輝かせなければならない。
鉄道運輸部門では革命的な事業体系を打ち立て、輸送組織と指揮を戦闘的に準備して取り掛かり、すべての部門、すべての単位で荷を相応の時に積んで運ぶ強い規律を打ち立てなければならない。
軽工業部門では、軽工業工場を改造・現代化して各種の質の良い人民消費品が溢れ出るようにすることによって、人民生活を高めて全国が活気に溢れるよう積極的に貢献しなければならない。
革命の首都・平壌市をさらによりよく整え、都市と農村に現代的な住居を多く建設しなければならない。
党創建60周年と祖国光復60周年の今年に、先軍時代を輝かせる記念碑的創造物をさらに多く建設しなければならない。
発展する現実と国の実情に適った我々式の独創的な経済管理体系と方法を打ちたて、その生活力が高く発揮されるようにしなければならない。
社会主義原則を徹底的に守り、最大限の実利を得られるように経済組織事業を緻密に準備して取り掛からなければならない。
生産を専門化して規格化・標準化を積極的に取り入れ、生産物と建設物の質を高めて社会的資源を効率的に利用しなければならない。
すべての部門、すべての単位で節約闘争を強化して国の経済管理を抜かりなく行い、労働行政事業を準備して取り掛からなければならない。
党の科学技術重視方針を堅持し、現代的な科学技術を基礎とした人民経済の技術改造を力強く促さなければならない。
科学技術に依拠して生産を伸ばし、経済を発展させる観点を確固と打ち立てなければならない。
今日の先軍革命大高調で科学者・技術者の役割を大きく高めなければならない。 国の全般的な経済事業に対する内閣の組織執者的機能役割を高めなければならない。
経済指導幹部は科学的な経営戦略、企業戦略を持ち、事業で主導性、創意性、能動性を発揮しなければならない。
党の文化建設方針を具現し、先軍時代の革命的軍人文化が花開くようにしなければならない。
歌があって情緒もあり、誰よりも生活を熱く愛するのが先軍時代の人間の高尚な精神世界である。
我々は誰もが人民軍軍人のように豊満な情緒と革命的情熱に溢れ、楽天的に生き、闘争して行かなければならない。
生活環境を充実して整え、生計を抜かりなくたてる人民軍の模範をすべての社会が見習わなければならない。
激動的な今日の時代精神を深く反映し、人民に熱烈な祖国愛を植え付ける革命的な文学芸術作品を多く創作しなければならない。
国と民族の発展と革命の将来のために、教育事業に大きな力を注がなければならい。
教育部門では情報産業時代の要求に即して教育方法を改善し、教育の質を決定的に高めて実力ある革命人材を多く育てなければならない。
保健従事者は人民の健康を保護するため献身的に働くことによって、社会主義保健制度の優越性を一層高く発揚させなければならない。
今年、我々の前に提起された課業を成功裏に遂行するための根本的な方途は、先軍時代の要求に即して党組織と活動家の戦闘力を高めるところにある。
党組織と党活動家は、党創建60周年となる今年に党事業で決定的な転換を起こさなければならない。
党組織は革命の首脳部の思想と意図を絶対化して決死で仰ぎ、革命的軍人精神と人民軍隊式政治事業において党政策貫徹のための事業を組織し、大衆を動員する生気溌剌とした戦闘的組織にならなければならない。
党組織と活動家は先軍思想教養を絶えず深化させ、社会主義愛国主義教養、反米階級教養を強化しなければならない。
我々の社会主義制度を内部から瓦解させようとする帝国主義者の悪辣な思想文化的侵略策動や心理謀略戦を断固粉砕することによって、反動的な思想毒素や腐り切ったプルジョア生活様式が絶対に浸透できないようにしなければならない。
党宣伝活動家は人々の心臓と生活の中に深く入り、思想と心を動かす理想的な宣伝活動家にならなければならない。
思想教育事業、政治事業を斬新で覇気あるようにし、全国が先軍革命総進軍の雰囲気で沸き立たせ、隠れた英雄、隠れた功労者が数多く輩出されるようにしなければならない。
党組織は経済事業を党的に力強く後押しし、党・行政配合をよりよく行わなければならない。
すべての党員が先軍革命大高調の先頭で偉勲を轟かせ、大衆を導いて行く先鋒闘士とならなければならない。
今日の先軍革命総進軍における勝利の鍵は、活動家が握っている。
党政策に敏感で高い実力を持って働き、人民に喜びを与えるりっぱな仕事をさらに多く行う活動家こそ、今日の時代が要求する真の活動家である。
活動家は党政策の運命を担った革命の指揮成員らしく、高い革命性と責任性を持って事業を創造的にきめ細かく展開しなければならない。
新しいものを指向し、不断に探求して常に生気と活力に溢れ、停滞と沈滞を知らずに絶えず前進しなければならない。
我々の青年たちは祖国と民族の将来を担って行く革命の後備隊であり、富強祖国建設の強力な力量である。
今年、先軍革命大高調の先頭で突撃隊的役割を果たさなければならない前衛旗手も青年である。
各級党組織は青年同盟事業に対する党的指導を強化しなければならない。
党組織は党の青年重視思想の要求に即して、青年に対する教養事業を一層適切に行って彼らを政治思想的にしっかり準備させ、首領決死擁護の前衛闘士として育てなければならない。
すべての青年は常に党の偉業を忠実に仰いできた誇り高い歴史と伝統を繋ぎ、今年の総進軍で先軍青年前衛の戦闘的気概と勇猛さを余すところなく轟かせなければならない。
偉勲を呼ぶ哨所ごとに世紀的な奇跡を創造し、先軍時代の青年の誇らしい名で呼ばれる記念碑的創造物を建設しなければならない。
今年の先軍革命総進軍で偉大な勝利を成し遂げるためには、全人民の愛国的熱意を余すところなく爆発させなければならない。
祖国と革命の転換的契機ごとに党の戦闘的アピールを高く仰いで一様に奮い立ち、国の自主権と尊厳を守って社会主義建設の英雄叙事詩を創造してきたことは、我が人民の誇らしい愛国的伝統である。
我々は戦後、千里馬に乗った気勢で走り、社会主義強国へと一気に駆け上がったその闘志と気概、峻厳な試練の中で強盛大国建設の進撃路を開いた「苦難の行軍」精神で再び世を驚かせる飛躍と革新を起こさなければならない。
祖国の富強繁栄のための道に人生の明確な跡を残す熱烈な愛国者とならなければならない。
偉大な母なる党、母なる祖国の子供らしく、誰もが皆誇らしい労力的な贈物を持って勝利の大祝典場に入らなければならない。
今年、祖国光復60周年を迎えるようになる北と南、海外の全朝鮮民族は、偉大な首領金日成同志が国の統一偉業に積まれた不滅の功績を胸熱く振り返っている。
偉大な首領様は、国が分裂した初日から祖国統一を民族至上の課題として打ち出し、その実現のために革命的生涯の最後の一瞬まで不眠不休の労苦を傾けられた。
抗日の血戦万里をかき分けて祖国光復偉業を成し遂げ、我が民族に統一された祖国を抱かせようとすべてを捧げられた偉大な首領様の不滅の業績を、我が民族は永遠に忘れないであろう。
偉大な首領様の祖国統一遺訓は今日、敬愛する将軍様によって輝かしく実現されて行っている。
民族分裂から55年目にして初めて北南首脳対面(南北首脳会談)を用意し、6.15北南共同宣言を採択発表して祖国統一の転換的局面を開かれたことは、敬愛する将軍様の民族史的業績である。
今年は歴史的な平壌対面と6.15北南共同宣言発表5周年にあたる意義深い年である。
去る5年間は6.15共同宣言の正当性と生活力が余すところなく誇示された日々であった。
「我が民族同士」の理念が全民族的な理念となり、不信と対決で汚された南北関係が和解と協力の関係へと転換された。
自主統一の新時代が開かれた去る5年間の劇的な事変は、全民族に民族が力を合わせれば必ず祖国統一偉業を成就することができるという信念と楽観を抱かせた。
北と南、海外の全民族は6.15共同宣言の旗印を高く掲げ、今年に祖国統一偉業遂行の新たな前進を成し遂げなければならない。
「民族自主共助、反戦平和共助、統一愛国共助の旗を高く掲げよう!」、これが今年の祖国統一運動の前に提起されるスローガンである。
民族自主は祖国統一運動の生命線である。 国の半分の地が、40年余にわたる日帝の植民地統治に続いた60年間の米軍強占によって、100年もの間外勢の支配下で自主権を蹂躙されているのは、耐えがたい民族的羞恥である。
全民族が外勢の支配と干渉を終わらせ、民族の自主権と尊厳を守るための闘争へ一様に突入しなければならない。
外勢との「共助」を排撃して事大売国勢力を孤立弱化させ、埋葬してしまわなければならない。
反戦平和のための闘争を果敢に繰り広げなければならない。
今日、朝鮮半島には米国の反共和国圧殺策動によって核戦争の危険が日に日に高まっている。
この地で戦争が起これば、その惨禍に見舞われるのは北と南の我が民族であり、我々の領土である。
全朝鮮民族は強力な反戦平和闘争によって南朝鮮から米軍を撤収させ、核戦争の根源を絶ち、朝鮮半島の平和と安全を守護しなければならない。
統一愛国の旗印を高く掲げなければならない 統一愛国は民族共同の利益と繁栄のため神聖な事業である。
朝鮮民族の魂と血を持った人ならば、誰もが統一愛国の流れに走り、統一のために特色ある寄与をしなければならない。
北と南、海外の各界各層の団体と人々は、民族共同の利益を前面に打ち出す原則で連帯と連合を実現しなければならない。
全朝鮮民族は「我が民族同士」の理念の下に民族自主・反戦平和・統一愛国の三大共助を確固と実現することによって、意義深い今年に自主統一の新たな局面を開き、祖国統一運動史の一ページを輝かしく飾らなければならない。
昨年、国際舞台では日に日に露骨となる米帝の強盗的な侵略や強権行為に反対する闘争が力強く行われた。
他の国、他の民族を侵略して支配しようとする行為は何があろうとも正当化できない。
今日、米国の反共和国策動は前例なく強化されており、これによって朝鮮半島では戦争の危険が一層高まっている。
米国は我が共和国を軍事的に圧殺しようとする試みを捨てるべきであり、対朝鮮敵対視政策を変えなければならない。
我が軍隊と人民はかつてと同様に今後も民族の尊厳と自主権をしっかり守護するであろうし、自主・平和・親善の対外政策的理念を一貫して具現するであろう。
我が党は世紀の嵐を切り抜けて百戦百勝を轟かせた偉大な革命的党であり、我が社会主義祖国は自主的人民の価値ある人生と幸福を守り花咲かせる、歴史上最も偉大な国である。
党創建60周年と祖国光復60周年を盛大に慶祝するための荘厳な進軍路に立ち入った我が軍隊と人民の信念と勇気は、千百倍に盛り上がっている。
皆すべてが偉大な金正日同志を首班とする革命の首脳部の周りに一致団結し、我が党と革命の神聖な歴史と伝統を輝かせ、我が国、我が祖国の富強繁栄のために力強く戦って行こう。


「朝鮮新報」04/10/07

〈月刊メディア批評〉 日朝正常化を妨害し続ける朝日資本

朝鮮による日本人拉致の被害者と家族の支援を担当してきた中山恭子内閣官房参与は9月29日、首相官邸で小泉首相に会い、辞任する意向を伝え、首相は辞任を認めた。中山参与は会談で、02年9月の小泉首相訪朝後、当初は拉致被害者や家族が政府に抱いていた不信感が払拭されたことなどを理由に挙げたという。
朝日新聞は「拉致被害者や家族は、約2年間にわたって政府とのパイプ役を果たした中山氏に信頼を寄せており、『北朝鮮による拉致被害者家族連絡会』は同日、辞任しないよう求める声明を出した」と報じた。
翌日のテレビ朝日などのワイドショーは、中山氏が、拉致被害者を守るために「国と闘った」などと賞賛した。しかし、フジテレビは中山氏がかつて、「国家意思として(5人を朝鮮に)帰らせないように政府に求める」と発言した映像をオンエアした。
5人を10日間前後で平壌に返すという国家間の約束があったことを認めたうえで、中山氏が国家の意思として永住帰国を強制させたことを明らかにした。
中山氏はその「上品」な声で、歴史修正主義者と手を結んだ「救う会」などの意向を受けて、日本国を動かしてきた。企業メディアは、その危険な本質を取材、報道せず、拉致被害者を支えてきたと報じた。公務員(人民の使用人)が国民のために働くのは当然ではないか。むしろ、中山氏が全国各地で講演した際の発言内容が適切かどうかなどを吟味すべきなのだ。
小泉政権にはイラクへの自衛隊派兵、靖国参拝など極右、対米追随の政策に大きな問題があるが、41年にわたる朝鮮の強制占領の過去について認識して、任期中に正常化を目指す姿勢を私は高く評価している。

ところが朝日新聞を中心に日本の企業メディアは、いまだに「拉致問題の解決なしに日朝国交正常化するな」という姿勢を変えていない。「北朝鮮を変えなければ」という内政干渉発言を繰り返してきた朝日の9月17日付社説は「動いたもの、動かぬもの」「小泉訪朝2年」という見出しで、「拉致問題の重さを思えば、軽々に日朝交渉を進めることはできない」と断定した。
また9月29日の社説は「日朝協議−ごまかしは許さぬ」と題して、「日朝実務者協議の内容が明らかになるにつれて、拉致問題をめぐる北朝鮮の姿勢に疑念は募るばかりである」と指摘。 8人が「死亡した」経緯や、「新たに拉致の疑いが浮かんだ人々」についての問い合わせにも応じなかったと激しく非難して次のように書いた。

「北朝鮮が過去の拉致を謝罪し、日朝関係を正常化させたいと考えるなら、被害者のその後を誠実に調べ、その結果を日本側に伝えることが出発点だろう。時間稼ぎのような態度を続ければ、日本国内の経済制裁論が力を増し、それで苦境に追い込まれるのは北朝鮮自身だ」「任期中に日朝国交正常化をなし遂げたいと首相は言う。ならば、この再調査問題をまず動かさなければならない」 戦争への最終手段である「経済制裁」をちらつかしての脅しである。
拉致問題など両国間の諸問題について、国交正常化の過程で解決を目指すという政府の方針は当然ではないか。「国交がなかったから、不幸な拉致事件が起きた」と2年前、小泉首相は発言した。至言だと思う。
拉致事件や万景峰号来航では、朝鮮政府に国際法や人権を遵守しろという日本のメディアは、朝鮮が日本メディアに著作権を守るように求めている問題では、ダブルスタンダードだ。
共同通信は8月10日、朝鮮の朝鮮中央テレビ(KRT)の映像を日本の放送局が使用する際、使用料を支払うよう朝鮮側が各社に打診、TBSなど一部の社が「報道への引用」以外について料金を払う方針を決めたことが分かったと突然報じた。朝日新聞などが後追い記事を書いた。
朝日の見出しは「北朝鮮、『使用料払え』 日本で放映の朝鮮中央テレビ映像」だった。「払え」という表現を見出しに選んだところにこの新聞社の姿勢が表れている。
日本のテレビ各局は、朝鮮中央テレビのオンエア映像を流し、金正日総書記らについて面白おかしく論評してきた。テレビ朝日の夕方の番組では定期的にオンエアしている。
私は昨年8月に訪朝した際、朝鮮中央テレビとラジオを運営管理する朝鮮中央放送委員会のチェ・チャンスン報道局長、リ・クァンチョル報道部長、リ・ヒョンチョル報道部記者の3人に会った。
チェ報道局長は、朝鮮が国際的な著作権保護を定めた「ベルヌ条約」に03年4月私たちの了解なしにニュース、ドラマ、映画などを衛星からとって無断で放映している。特にテレビ朝日はひどい。著作権侵害だ。在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)を通じて権利保護を求める」と述べた。
局長は、テレビ朝日は無許可で朝鮮中央テレビの放送を録画してオンエアしているだけでなく、悪質なねつ造までしていると訴えた。部長は「良心のある人間ならこんなひどいことはできない。報道倫理に違反している。同業者として非常に残念なことだ」と語った。私はさまざまなメディアで、朝鮮中央テレビが、ワイドショーなどで衛星放送の映像を断りなく使ってきた日本のテレビ局に著作権使用料の支払いの要求をしていることを書いてきたが、1年以上もメディアは知らん顔だった。日本の新聞報道によると、日本政府・文化庁は「国交がない北朝鮮が条約に加入しても、北朝鮮の著作物を保護する必要はない」と、支払う必要はないという立場で、テレビ各局はこの政府見解を盾に「使い放題」だったという。
外務省も「未承認国家との間で条約上の権利義務関係は生じない」とする解釈を示している。
国家や政府を監視するのが民主主義体制の国のメディアの主要な仕事のはずだ。日本に「報道の自由」はあるのだろうか。

[朝鮮新報 2004.8.31]
第28回全国交流、福岡集会アピール(全文)


日朝友好親善を深めるための第28回全国交流福岡集会で採択された集会アピールの全文は次のとおり。

私たちは本日「日朝友好親善を深めるための第28回全国交流福岡集会」を開催しました。

全体集会の記念講演「日朝関係の現状と私たちの課題」(出水薫九州大学助教授)によって当面する情勢の特徴を明らかにし、日朝国交正常化をはじめとする当面の課題について意志統一しました。また、福岡県朝鮮学校を支援する会から「朝鮮学校を支援し、交流する活動について」特別報告を受け、朝鮮人学校との日常的な交流と連帯を強化しつつ、民族教育権差別の完全解消をはかる運動の重要性も確認しました。

理論、教育実践、友好連帯運動の3つの分科会では、朝米関係の現状分析のうえに立って朝米、朝・日関係の改善と朝鮮の自主的平和統一に至る展望が明らかにされました。そして、そのもとで朝鮮学校を支援する運動、朝鮮人強制連行真相調査活動などが持つ意義を確認し合いました。私たちは、今次集会のこれらの成果の上に立って、日朝教育交流、友好親善活動のいっそうの強化をはかります。

いま、アメリカ・ブッシュ政権の単独行動主義とこれに加担する日本をはじめとする大国の軍事同盟が、世界の平和を危機に陥れています。小泉内閣は、この間、イラク特措法に次いで一連の有事関連法案を成立させ、多国籍軍への参加を含む海外派兵を本格化させています。この動きと一体的に、朝鮮民主主義人民共和国に対する敵意をあおり、民族排外主義、差別意識を増幅させてきました。とりわけ、朝鮮学校児童、生徒に対する暴力、脅迫事件の頻発は、在日朝鮮人子弟の生命をも脅かす異常な事態となっていました。私たちは、平和、親善、自主権尊重を基調とすべき時代の潮流に合わせて、こうした事態が2度と起きないように抜本的是正をはからなければなりません。

日本政府は、2002年9月17日、朝鮮民主主義人民共和国と歴史的な「日朝平壌宣言」を発表し、日朝間の不幸な過去の清算と懸案事項の解決、実りある政治、経済、文化的関係の樹立について合意しました。そして、国交正常化の早期実現をうたい、さらに「過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からの謝罪の意」を表明しました。

しかし、その後日本政府は拉致事件や核問題を理由に、国交正常化交渉を拒んできました。ようやく今年5月、小泉首相は再訪朝し平壌宣言の履行を再確認するとともに、国交正常化交渉の再開に向けて動き始めました。私たちは、6者会談における「言葉対言葉、行動対行動」の合意が達成され、朝米関係の抜本的改善が行われることと合わせて、一日も早く日朝国交正常化が実現し、いっさいの民族差別の解消をはじめとして、諸懸案事項が解決され、「近くて遠い国」が「近くて親しい国」の関係になることを心から期待します。

21世紀を平和、自主、親善の時代として輝かせるために共に力を合わせましょう。

「朝鮮新報」04/06/26

8月26日‘04女性のピースライン訪朝団「万景峰92」号で渡航、
日朝、アジア平和のかけ橋に

日本と朝鮮、アジアの平和のために、女性が友好の架け橋になろうと、「朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会」(清水澄子代表)が8月26日から9月6日までの12日間、100人規模で「朝鮮半島を戦場にさせない! 04女性のピースライン訪朝団」(略称=女性のピースライン訪朝団)を派遣しようと準備を進めている。女性のピースライン訪朝団は、実現すれば99年9月に次ぎ2度目になる。新ガイドライン関連法やイラクへの自衛隊派遣、憲法改正が平然と論議される今の社会状況下で、「軍によるガイドラインではなく、平和のためのピースラインを」と強く願う女性たちの想いが込められている。
訪朝団は8月26日、「万景峰92」号に乗船し、海路新潟港から元山―平壌入りする予定だ。
小川ルミ子事務局長は、「特定船舶入港禁止法案」の問題もあり、「万景峰92」号での渡航にこだわったと説明する。
「『万景峰』号は日本と朝鮮をつなぐ大切なきずな。朝鮮に家族を持つ在日の人たちにとって、この道が閉ざされることは家族との再会の道を閉ざされるという大きな悲劇につながる。小泉首相の再訪朝を評価した日本の国民として、『敵対から友好、対立から協力へ』という首相の姿勢を、実践をもってアピールしたい」実際、小泉首相は5月22日、1年8カ月ぶりの再訪朝を果たし、「敵対から友好に、対立から協力に日朝関係を転換させる」ことを表明。これを70%の日本世論が評価した。
「一昨年の9月17日、小泉首相の訪朝で『日朝平壌宣言』が発表され、国交正常化に向けた動きが好転するかと喜んだが、同時に判明した日本人拉致事件により事態は暗転、日本社会の中で朝鮮に対する世論は最悪になった。在日の人々は今も息を潜めて暮らしている。日本の植民地支配によって犠牲となった数えきれない朝鮮人、そして、植民地支配後の分断と対立により新たな犠牲者となってしまった日本の拉致被害者、家族がいる。加害の悲しみと、被害の苦しみをこれ以上繰り返してはならない」(小川さん)。
朝鮮では、現地の女性たちとの話し合いをメインに、さまざまな交流を企画。平壌市内をはじめ、白頭山、妙香山、東明王陵などの観光も予定している。申込締め切りは7月末日。
「朝鮮の女性たちと触れ合い、お互い顔を見て話をすれば、これまで見えなかったものが見えてくるはず。テレビや新聞、雑誌を通じて刷り込まれてしまった朝鮮に対する良くないイメージを変える良い機会だと思う。日本全国から1人でも多くの女性が参加してほしい」と小川さんは呼びかけている。
「朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会」およびI女性会議中央本部では、龍川事故への支援事業も行っている。
両団体は、12日の段階で114万3405円を集約。先月23日にソウルで開かれた「日本の過去の清算を求める第2回国際連帯協議会ソウル大会」に参加した洪善玉朝鮮対外文化連絡協会副委員長に、龍川小学校の復旧費用として50万円を渡した。今回の訪朝時にもさらに全国から支援金を募り、現地で直接手渡すという。
 問い合わせ=TEL 03・3816・1862。


「朝鮮新報」04/06/11

〈月刊メディア批評〉 日朝正常化を妨害する悪質なメディア

人民が誤った方向に進もうとしているときに、勇気を持って警鐘を鳴らすのがジャーナリストの仕事だ。しかし、人民が健全な判断をしているときに、「意外だ」「理解できない」と繰り返して、隣国への敵意を煽っているのが日本の企業メディアである。
しかも、その国は、日本がかつて41年にわたり侵略、強制占領して、民族丸ごと拉致=強制連行した朝鮮人民が建国した共和国である。
小泉純一郎首相の朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への2度目の訪問に対して「世界の笑いものになった土下座外交」などという批判があったが、「拉致の解決なしに国交正常化交渉を再開するな」「人道支援もするべきではない」と繰り返すテレビ朝日を先頭とする日本の企業メディアこそ、国際的に孤立した非常識な団体だ。
報道機関の世論調査では、小泉首相の第2次訪朝を支持する人が70%近くあった。国民の健全な感覚だと思う。ところが、この世論について、ニュースキャスターや一部極右政治家、文化人は「意外だ」「おかしい」などと論評した。
「家族会」幹部は首相の帰国後、朝鮮の総書記を一貫して呼び捨てにして、「あの男は十人のことについて情報を持っているはずだ」などと決め付けた。「救う会」幹部は総書記を日本の漢字読みで呼び捨てにして、今回の首脳会談の成果を認めなかった。
約5年前から「反北朝鮮」を煽る重村智計早大教授は、首相が帰国した翌日の5月23日、民放テレビで、「会談終了直後の調査だからこうなった。家族会の生の声などを聞いたら、支持は下がるはずだ」とコメントしていた。しかし、その後の世論調査でも過半数以上が第2回首脳会談を成功だったと評価している。御用文化人や偏向キャスターが家族会の怒りの声を繰り返し報道しても、世論は日朝の歩み寄りを歓迎している。NHKの報道は相変わらずだ。5月29日午前2時のNHKラジオ、ニュースはトップで「横田めぐみさんの両親が外国特派員協会で講演した」と伝えていた。前日未明にイラクで銃殺された日本人記者の関連ニュースはずっと後だった。拉致事件は重要なニュースだとしても、全国中継の頭でやるべきニュースだろうか。
NHKによると、横田氏夫妻は、小泉首相の2度目の平壌訪問について、一昨年10月15日に帰国した拉致被害者の女性(45)の米国人の夫と子ども2人が「帰国」できなかったことや、行方不明者10人の安否の確認ができなかったのだから、最低の結果だと改めて強調したという。また、会見に出た外国特派員たちが「拉致事件の被害者家族を批判するのは、イラク人質事件の被害者へのバッシングと同じで、事件被害者への共感が足りないのではないか」「日本人拉致問題の深刻さを世界に伝えたい」などとコメントしたと伝えた。外国特派員の間で、それ以外の意見はなかったのだろうか。
読売テレビの辛坊次郎キャスターは「拉致被害者の家族と、イラクでの人質事件の被害者の家族とは全く違う」と発言し、小泉首相に「あなたにはプライドはあるのか」と迫った家族を擁護した。イラクでの拘束事件の被害者を非難したのは適切だったという意味だろうが、あまりにも不勉強だ。
5月29日午前の日本テレビでは、安部晋三自民党幹事長、重村智計早大教授らが出演した。2人は「日本政府はSさんを日本にとどめなければならない。日本へ返さないなら、第三国に行かせないと政府は事前に明言すべきだ」などと繰り返した。女性の一家4人の意思よりも、国家意思を優先させるべきだと言うのだ。これはまさに拉致=強制連行ではないか。2人は、女性を日本の臣民と見なし、市民として見ていない。地球上の誰にも国籍を選ぶ権利があることさえ理解できない。
一昨年に日本へ戻った5人の拉致被害者は、本来は10日前後で朝鮮へ帰る約束だった。ところが、安部氏ら日本の極右政治家と右翼メディアは、「永住帰国」を決め、5人に事実上強制した。朝鮮との約束違反だ。
家族会の蓮池透氏は、小泉首相の再訪翌日午前のテレビ朝日の番組で、「(拉致被害者の)弟が帰国したときのメモをあらためて読んだが、『おみやげを買って帰る』と書いてあった」「5人みんなが平壌で指導員らに、日本へは短期間の滞在だと言われていた」などと語った。
被害者の多くが、自分たちの「帰国」はもともと一時帰国で、すぐに朝鮮に戻るつもりだったことを明らかにしてきた。日本政府が朝鮮との一時帰国という約束を破ったことは明白だ。だからこそ、小泉首相が再び平壌に出かけたのだろうと思う。
日本政府が5人を帰さなかったのは、「北が無法の国」(安倍氏)だからという理由だった。拉致事件をきっかけに偏狭なナショナリズムを挑発し、金正日独裁体制を打倒することを目的化した極右団体の広報を務めて、朝鮮蔑視の世論を煽動してきた極右政治家やメディア幹部の責任は重大だ。
「週刊金曜日」5月28日号の「金曜日から」に、「小泉首相の再訪朝の政治決断は、今後の正常化の進展によって評価するしかない」という見解が載っているが、そうだろうか。 再訪朝があったからこそ日朝国交正常化交渉を再開されることができたのだと思う。
日本共産党は小泉首相の帰国直後に、「『日朝平壌宣言』が、日朝関係の基礎として再確認され、(略)国交正常化交渉への前進の方向が確認されたことを歓迎する。(略)北東アジアの平和と安定を実現するうえでも、重要な一歩となる」などという市田書記局長談話を発表した。共産党が小泉首相の政策を支持することは珍しいが、私はこの談話に全面的に賛同する。
首相の訪朝に、自らの年金問題、有事関連法案などへの批判をそらす目的があったことは間違いないだろうが、国交正常化を望む両国の人民の努力によって、歴史的な成果を生み出したと私は思う。
日本の主要企業メディアは、相も変わらず、「拉致」と「核」だけを取り上げて、過去の国家犯罪についての「国家無答責」である日本の政府と国民について全く論評していない。
「拉致問題の解決なしの国交正常化交渉はすべでない」としか言わないメディア人は犯罪的である。拉致問題も含め両国間の諸問題は正常化の課程で解決することになっているし、両国の国交が樹立すれば、双方の外交ルートを通じて着実に解決すべきだ。
小泉首相は5月27日の参院イラク復興支援、有事法制特別委員会で、金正日総書記の人物像について聞かれたのに対して、「実際会って話してみれば穏やかで快活、冗談も飛ばす」「頭の展開の速い人だなと思っている」と論評した。首相は「信頼関係を結べるか」との質問には「信頼関係を醸成しないと率直な話し合いができない。信頼できる、できないにかかわらず、交渉していかなくてはならない相手だ」と述べた。
小泉首相は5月28日から2日間開かれた朝鮮総聯第20回全体大会に自民党総裁として初めて祝賀メッセージを送った。朝鮮側は首脳会談で、正常化交渉の席に朝鮮総聯代表も参加させたいと表明した。
これについて重村教授は5月30日午前のフジテレビ番組で、「実に軽率」と非難、「来年ならいいが今年はだめだ」と述べた。朝鮮総聯の全体大会は3年に1回しかないことも知らない人が早大教授を務めているのだ。(浅野健一、同志社大学教授)

「朝鮮新報」04/05/29

総聯第20回全体大会〉 新たな里程標示す画期的な契機に

総聯第20回全体大会が28〜29日、東京朝鮮文化会館(東京都北区)で行われた。朝鮮半島と総聯、そして在日同胞社会を取り巻く情勢が大きく揺れる激動の時代を反映し、内外の大きな関心の中で行われた今大会は、総聯を組織、思想的に強化し、主体的な在日朝鮮人運動において新しい里程標を示す画期的な契機となった。2
日間にかけて行われた大会では、大会報告に続いて15人の討論と9単位のビデオ討論が行われた。また、総聯の綱領、規約が新しく改定され、中央委員会の役員が選出された。
資格審査の報告が行われたあと、@総聯第20回全体大会報告A総聯結成50周年を全組織、全同胞社会的に迎えることについてB財政決算および予算案C綱領、規約の一部改定D中央機関の役員選挙の議案を満場一致で採択した。
大会では、徐萬述議長と許宗萬責任副議長、そして朴在魯、権淳徽(教育会中央会長兼)、梁守政(商工連合会会長兼)、呉享鎮、南昇祐、李沂碩、゙令鉉、金昭子(女性同盟中央委員長兼)の各副議長、財政委員会の崔秉祚委員長、中央監査委員会の洪仁欽委員長を執行部として選出した。また、総聯中央常任委員、朝鮮最高人民会議代議員、朝高所在地の総聯本部委員長、主要中央団体、事業体の責任者、中央監査委員たちで幹部席が構成され、大会書記部が選出された。
大会では、小泉純一郎・自由民主党総裁から寄せられた祝賀メッセージを、同党筆頭副幹事長の甘利明衆議院議員が紹介した。また、民主党・藤井裕久幹事長のメッセージを民主党国際局長の藤田幸久衆議院議員が紹介し、つづいて公明党国際委員会の高野博師参議院議員があいさつを行った。社会民主党常任幹事会から寄せられたメッセージも紹介された。
続いて、日朝国交促進国民協会の三木睦子副会長、朝鮮の自主的平和統一を支持する日本委員会の槇枝元文議長、日本弁護士連合会の土屋公献前会長があいさつを行った。


〈総聯第20回全体大会〉 総聯の綱領一部改定

28〜29日にかけて行われた総聯第20回全体大会では、総聯の綱領を一部改定した。内容は次の通り。
1、 われわれは、愛族愛国の旗のもとに、すべての在日同胞を朝鮮民主主義人民共和国のまわりに総結集させ、同胞の権益擁護とチュチェ偉業の継承、完成のために献身する。
2、 われわれは、民主主義的民族教育を強化発展させ、広範な在日同胞子弟を、民族性を所有し知徳体を兼備した有能な民族人材、真の愛国者に育てる。
3、 われわれは、在日同胞が民族の尊厳を持ち、母国の言葉と文字、文化と歴史、風習をはじめとする素養を持つようにし、同胞社会において民族性を守り発揚させる。
4、 われわれは、むつまじく豊かで力強い同胞社会を作るために、在日同胞のなかで、相扶相助の美風を高め、同胞の経済活動を助け、生活奉仕と福祉事業をくり広げる。
5、 われわれは、朝・日平壌宣言にのっとり、在日朝鮮人の地位を高め、すべての民主主義的民族権利と国際法で公認された合法的権利を完全に行使するようにし、あらゆる民族的差別と迫害行為に反対する。
6、 われわれは、6.15北南共同宣言の旗のもとに、在日同胞の民族的団結と北と南、海外同胞との絆を強化発展させ、反統一勢力を排撃し、連邦制方式による祖国の自主的平和統一を成就するために全力をつくす。
7、 われわれは、朝鮮民主主義人民共和国を熱烈に愛し擁護して、合弁、合作と交流事業を経済、文化、科学技術の各分野で強化し、わが国の富強発展に特色のある貢献をする。
8、 われわれは、日本人民との親善と連帯を広げ、朝・日国交正常化の実現と真の善隣関係の発展のために努力し、自主、平和、親善の理念のもと、世界の進歩的人民との国際的連帯を強化する。

小泉も金の延べ棒でも貰って帰って来たか!! 結局はこの程度の男だ 売国奴メ
〈総聯第20回全体大会〉 小泉純一郎自民党総裁の祝賀メッセージ

このたびの朝鮮総聯第20回全体大会開催に際し、自由民主党を代表して、祝意とごあいさつを申し上げます。
私は、22日、平壌を訪問し、金正日国防委員長との間で日朝首脳会談を行いました。
今回の首脳会談においては、金正日委員長との間で、日朝関係や核、ミサイル等北東アジア地域の平和と安定にかかわる安全保障上の問題等につき、大局的かつ率直な議論を行いました。この中でも、とくにみな様に対して以下の4点をご紹介したいと思います。
第1に、今回の首脳会談の結果、今後の日朝関係を進めていくうえで、日朝平壌宣言がその基礎であり、同宣言を双方が誠実に履行していくことが再確認され、国交正常化に向けて、互いに努力していくことを申し合わせました。
第2に、日朝間の重大な懸案の一つであった拉致問題について、一部とはいえ被害者ご家族の帰国が実現し、また、安否不明者の真相究明につき、白紙に戻し、直ちに調査を再開するとの約束がなされるなど、一定の前進が得られました。
第3に、わが国として、国際機関を通じ、食糧25万トン及び1000万ドル相当の医薬品等の人道支援を行う考えであることを表明しました。
第4に、私は、在日朝鮮人の方々に対して、差別などが行われないよう、友好的に対応する考えを伝えました。
わが国と朝鮮半島は、歴史的、地理的に密接な関係にあり、朝鮮半島の安定、わが国と同半島との良好な関係は、わが国自身の安全保障、北東アジア地域の平和と安定に極めて重要な意味を持ちます。このような観点から、今回の首脳会談で得られたこれらの成果は、わが国を含む北東アジア地域における安全保障環境の改善に資するものであったと考えています。
私は、今回の首脳会談の結果を踏まえつつ、日朝間の諸懸案の解決に向け早期に具体的な前進を図り、もってわが国と朝鮮半島との更なる関係の改善、ひいては日朝国交正常化の実現に向け、最大限努力を払っていきたいと考えています。
平成16年5月28日
自由民主党総裁
小泉純一郎

「朝鮮新報」04/05/24

小泉総理の訪朝、反朝鮮キャンペーンやめるべき

【平壌発=李松鶴記者】既報のように、金正日総書記は朝・日平壌宣言の履行と両国間の信頼関係回復のために訪朝した小泉総理と対面し、会談を行った。
今回の対面と会談について朝鮮は、「両国間の信頼を回復し関係を改善しアジアと世界の平和と安定のために重要な意義を持つ歴史的な出来事」(朝鮮中央通信)だと評価している。
対面と会談では、2002年9月に発表された朝・日平壌宣言を再確認し、その履行と関連した問題などを討議した。また、全般的な国際問題と双方の関係改善において提起される一連の問題などについて意見を交わした。
小泉総理は、今まで朝鮮との関係において良くない事があったことに対して遺憾を表明しながら、日朝平壌宣言を重視しそれを誠実に履行する過程を通じて敵対関係を協力関係に作り変え両国関係を正常化していく意志を表明した。
また、今後日本は反朝鮮「制裁法」の発動を中止すること、両国間の信頼関係回復のため朝鮮に対する人道主義支援を即時再開し、コメ25万トンと1000万ドル分の医薬品を提供することについて確言した。
反朝鮮、反総聯、反朝鮮人策動が行われている日本国内の状況で、小泉総理が在日朝鮮人たちを差別せず、友好的に対していくと言明したことはとくに注目される。
同日行われた平壌での記者会見で小泉総理は、両国間で日朝平壌宣言を誠実に履行していくことが最も基本的なことだと指摘しながら、今回の訪朝が日朝国交正常化のための転換の契機になることを願うと強調した。
しかし、2002年9月に平壌宣言が発表後、日本の反動勢力はメディアを総動員して反朝鮮キャンペーンを繰り広げることによって朝日関係は最悪の状態に陥ったように、今回も彼らが同じ手法で両国関係を引き続き悪化させようとすることは目に見えている。
記者会見で質問した日本の記者らは、依然として拉致、核、ミサイル問題に固執し、あたかもこれらの問題が解決されなければ朝・日関係は解決されないという旧態依然とした思考から抜け出せないでいる。朝鮮の記者らは、「平壌宣言の基本は過去の犯罪に対する謝罪、補償だから、宣言を誠実に履行していくという総理の言葉は理解できる。しかし謝罪、補償に対して一言も言及がなかったことに対しては惜しい感がある」と話していた。
今回の対面と会談で、両国間の信頼を回復し関係を正常化することが互いにとって、最も有益だと確認した。日本の反動勢力は2002年9月から現在まで行ってきた反朝鮮騒動を止めるべきだ。


[朝鮮新報 2004.5.12]
〈月刊メディア批評〉 予断と偏見に満ちた朝日新聞報道

朝鮮の金正日総書記が4月18日夜に国境を越えて19日に北京に入り、21日北京を離れた。金総書記は19日の胡錦涛・中国国家主席との首脳会談で「非核化の最終目標を堅持し、対話を通じた平和的解決を追求する我々の基本的立場には変化がない」と述べた。
総書記は温家宝首相や江沢民中央軍事委主席ら中国指導部と連日友好的に会談した。
朝鮮の核などについて協議する6カ国協議の議長国である中国への総書記の4年ぶりの訪問は、国際社会で歓迎された。
ところが、「拉致」問題で極右勢力と二人三脚で反朝鮮世論を扇動してきた日本の企業メディアは、この成果を素直に喜ばない。
日本を代表する「高級紙」と言われ、社会科学に無知な日本の右翼が「左翼的」と勘違いしている朝日新聞の報道を見てみよう。4月21日、北京発で栗原健太郎、塚本和人両記者は、「金総書記の動静は前日に続き、伏せられたまま。北京市の中心部では突然車線が規制され、高級車の列が猛スピードで走り去る。ものものしい警備のなか、今どき珍しい『秘密外交』が続いている」などと訪中が「非公式」だと強調した。

中国など社会主義国では、首脳会談がリアルタイムで報道されないことが珍しくない。日本でも、公表されない会談はある。朝鮮と中国は総書記の訪問が終了した段階で公表すると表明していたし、実際に詳しく映像つきで報道された。
朝日新聞は4月23日、「『お忍び』が終わって 中朝会談」という題の社説で次のように論じた。書き出しは「北朝鮮の金正日総書記の『秘密訪中』が終わった」で、「北京のレストランから出てきたところを外国メディアによって撮影された以外は、2泊3日の金氏の動静は闇に包まれたままだった。ひと昔前の中国ならともかく、開放政策と清新さを売り物にする胡錦涛国家主席は、こんな時代錯誤の外交はしたくなかったに違いない。」と書いた。
後は、朝鮮の「核」に対する朝日の予断と偏見に満ちた社論の展開だ。最後に、今後の6者協議を展望して、「検証可能で後戻りできない形での核開発の完全放棄を求めてきた日米韓にとっては、『非核兵器化』なら、という金氏の表明ひとつとっても受け入れがたい。核の平和利用を表向きの理由に、核兵器の開発を進めてきた北朝鮮への不信がぬぐえないからだ。」「北朝鮮がこれ以上核開発を進められるような時間を与えてはならないからだ」などと結んでいる。
まさに米国の言いなりの首相をいただく国の偏向新聞である。日本の過去の朝鮮侵略の歴史と、「日米」がいま東アジアの平和と安定の脅威になっていることを忘却した反動新聞である。

朝日新聞から役員が送り込まれているテレビ朝日も相変わらずの「反朝鮮」報道を続けている。4月22日午前のテレビ朝日のワイドショー「モーニング」を見たら、おどろおどろしいBGMを入れて金総書記の「隠密旅行」を長々と伝えた。最高級の北京ダックを食べたとか、高級車を連ねてのグルメ旅行だとか言いたい放題だ。総書記の映像を独占キャッチしたとかの自慢もあった。
映像に出た北京ダックの店は、私も食べたことがある店で、小泉首相や福田官房長官がお気に入りの東京都内の超高級飲食店とは違う。
後半は、評論家と称する歳川隆夫氏(元新左翼活動家)と重村智計早稲田大学教授らが登場して、金総書記に朴奉珠首相、姜錫柱第一外務次官、金永春朝鮮人民軍総参謀長らが同行したのは、経済問題が深刻だからだと解説した。国家元首の外国訪問に指導部のトップが随行するのはごく普通のことだ。

「核」問題で朝鮮側は核兵器しか言っていないとも非難したが、どうして朝鮮だけが核の平和利用をしてはならないのかを一度でも考えたほうがいい。原発、プルトニウム大国の日本がそういう資格などない。世界一の核兵器を所有する米国軍隊が駐留しているうちに、日本のメディア関係者は正常な感覚を失ってしまった。曇った色つきのメガネで見るから、すべて的外れになってしまう。
司会役の渡辺アナウンサーは得意げに、「経済が行き詰っている」「国際的に孤立を深めている」などと勝手なことを言っていたので、「いつまで隣国を中傷する報道を続けるのか」とテレビ朝日に電話で抗議した。
アジアや世界の中で孤立化を深めているのは日本ではないか。憲法と自衛隊法に違反して軍隊を派遣してアラブ諸国の反発を招いている。また、小泉首相の靖国参拝強行によって、日中首脳の相互訪問がいつ実現するかの目途さえ立っていない。非公式でも隠密でも、首脳の訪問ができない状態を深刻に考えたほうがいい。
朝日新聞系メディアは、何とか朝鮮と中国の「きしみ」を熱望しているが、両国の関係は密接、友好的だ。朝鮮西北部、平安北道の町リョンチョン(龍川)で大規模な爆発事故が発生し、甚大な被害が出ているが、「中華人民共和国贈」と大きく書いたトラックが何台も朝鮮へ渡る映像が日本でも流れた。
朝日新聞など日本のメディア界が今すぐやらなければならないのは、子どもたちも含めた被害者を救援する動きを日本の中に作り出すことだ。募金活動などを呼びかけてもらいたい。(浅野健一、同志社大学教授)


「朝鮮新報」04/04/02

「特定船舶入港禁止法案」禁止求め東京、近畿、東海で相次ぎ緊急集会
非人道、国際条約踏みにじる悪法

「特定船舶入港禁止法案」に反対する在日朝鮮人緊急集会が3月26日東京、30日には近畿、東海地方で開催された。参加者らは日本当局の対朝鮮敵視政策を糾弾し、朝・日平壌宣言の精神を踏みにじる「改正外為法」の即時撤回と在日朝鮮人の人権を蹂躙する「特定船舶入港禁止法案」の国会提出中止を強く求めた。
東京での集会(千代田区の日本教育会館)には、南昇祐総聯中央副議長と関東地方の総聯本部、支部活動家、同胞らが参加した。
報告をした南昇祐副議長は、日本の右翼保守勢力の一連の動きは、米国の対朝鮮孤立圧殺政策と核戦争挑発策動に加担し、朝鮮の「体制」を崩壊させようとする目的から出発したもので、日本の軍事大国化と自衛隊の海外進出を合法化しようとする企図が隠れていると指摘した。
また、「特定船舶入港禁止法案」は、在日同胞の初歩的な人権と生活権を蹂躙し、祖国往来の道を遮断することによって家族・親戚との面会をも遮る非人道主義な法案であり、さらに、港湾使用において不平等な扱いを禁じている「港湾法」と、各国の船舶に対する均等な対応を定めた条約にも背く、国際慣例をも無視した悪法だと述べた。
続けて、日本当局は平壌宣言の基本精神と原則に戻り、対朝鮮敵視政策と総聯を抑圧、規制することを即時中断すべきだと主張しながら、法案の撤回に向けて断固たたかっていこうと強調した。
集会では、日本人士の連帯あいさつ(要旨別項)に続き、同胞各界の代表らが発言。「特定船舶入港禁止法案」の不当性を糾弾し、同胞らの団結した力で民族の尊厳と神聖な権利を守っていくことを表明した。
集会では、「特定船舶入港禁止法案」に反対する日本当局に対する要請行動を展開していくことを決定。さらに、要請文、要請団構成案を採択した。
一方30日、近畿地方集会が総聯大阪府本部で、東海地方集会が名古屋朝鮮初級学校で、それぞれ開かれた。
集会では、報告に続き、日本人士の連帯あいさつ、同胞らの討論などが行われ、日本政府に送る抗議文と抗議団構成案が採択された。

東京集会での発言から

「万景峰号」を運航停止にするということは、在日朝鮮人の人権蹂躙のみならず、日本自身のモラル、人道性、道義性を自ら世界の前でかなぐり捨てる行為だ。
いま日本がしなければならないのは、朝鮮に対する経済制裁や圧力ではないはずである。6者協議で核問題も含め米朝間の冷戦構造を断ち切るために、日本は積極的に努力する立場にある。同時に平壌宣言の履行により、拉致問題の解決を含め、日本の過去の問題をキチンと清算することで、日朝関係を正常化することに全力を注ぐべきである。この大事な時期に、朝鮮との敵対関係を強化してはならない。
在日朝鮮人の皆さんと良心をもつ日本人とが、より一体となって闘いを展開していかなければならない。(清水澄子、朝鮮女性連帯日本婦人連絡会代表)
改正外為法や「特定船舶入港禁止法」は、朝鮮に対するあからさまな敵意の表明であるばかりか、在日朝鮮人に対する人権侵害でもある。平壌宣言の合意事項にも明確に反するもので、日朝間の懸案事項の解決を遠ざけるものだ。
基本的人権にかかわる問題を、そもそも取引の道具に利用するような対応は、それ自体が人間の尊厳に対する冒とくだと言わざるをえない。
いま、一番必要なのは植民地支配の謝罪と清算、国交正常化と合わせて、国際人権規約や民族教育権にかかわる国連勧告の理念などを完全に実現すること。そうしてこそ、日朝間の懸案は包括的な解決が可能である。(横堀正一、朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会代表委員)
まず、問題提起したいのは第1に、排他主義の露骨な表現であり、社会的弱者に対する刃だ。日本を滅ぼすであろう法案と言える。
第2に、この法案を「外交のカード」と捉える見解があるが、必要なのは真摯な態度だ。朝鮮植民地支配という過去の問題、戦後の半世紀にわたる責任回避の歴史を見落としたままの「カード」などありえない。
第3に、この法案成立の動機が日本人拉致問題、または被害者たちの救出であるといわれているが、はたして拉致された日本人やその家族が戻ってくるのか。論理矛盾も甚だしい。
法案がいかに愚かなものであるか、多くの人々に訴えていかなければならない。(野田峯雄、ジャーナリスト)


朝鮮外務省、「イージス艦配備は戦争の準備」

朝鮮外務省スポークスマンは3月31日、米国が米日共同のミサイル防衛(MD)システム構築の一環として朝鮮東海へのイージス艦の実戦配備を決定したことに関連して朝鮮中央通信社記者の質問に次のように答えた。
米国は最近、われわれの「弾道ミサイルの脅威」を口実にして、今年9月から朝鮮東海にミサイル迎撃システムを整えた米海軍の最新型イージス駆逐艦の実戦配備に着手し、2005年末までに海上ミサイル迎撃システムの構築を完了すると発表した。

朝鮮東海に展開しようとする米国の海上ミサイル迎撃システムは、わが朝鮮を狙った戦争遂行システムとして最も直接的な敵対行為であり、ひいては中国とロシアに対する軍事的包囲抑止網を形成してアジア太平洋地域を支配しようとする覇権的企図の表れである。
米国は今年に入ってからも日本当局をそそのかして日本と米国本土で連合指揮参謀訓練と、われわれの弾道ミサイルを想定して対応演習を相次いで行ったのに続いて、3月には南朝鮮の全域で大規模なフォールイーグル合同軍事演習と連合戦時増援演習を行った。
公式発表された資料によっても、米国は今年、朝鮮半島とその周辺で10余回の定期的な兵種別合同軍事演習と3〜5回の大規模陸海空合同演習を計画しているという。
これらすべての事実は、ブッシュ政府が起こした朝鮮半島での核騒動がわが朝鮮に反対し、地域の覇権を追求する侵略戦争の準備を促進する名分を立てることに目的を置いていることを証明している。
米国が新型核兵器の生産に拍車をかけ、わが国の周辺に最先端の戦争装備を実戦配備し、軍事的威嚇を増大させながられわれの核抑止力を何の補償もせずになくそうとするのは、侵略者の強盗的要求である。
われわれは朝鮮半島と東北アジア地域での戦争を防止し、平和を守るために核抑止力を極力打ち固め、必要な時期に決定的な自衛的対応措置を講じる。(朝鮮通信)



「朝鮮新報」04/03/25

月間平壌レポート―一貫する対日姿勢、ある外交官との対話(2004.3)

世論のギャップ

平壌で取材する記者たちは、国内外の世論動向に常に関心を払う。平壌が発した「シロ」のメッセージが、東京やワシントンでは「クロ」と伝えられる場合が少なくないからだ。マスコミの報道によって相反する世論が形成されてしまう。各国の利害関係が対立する朝鮮半島情勢については、それが端的に表れる。
2月末、2回目の6者会談は具体的な成果を上げられずに終わったが、米国は「対話継続」の意義をことさら強調した。日本の評価も肯定的なもので、今後「拉致問題」の協議などで進展があるのでは、との希望的観測も生まれた。
しかし、次回会談の開催について合意がなされたということだけで、よしとする世論は平壌には存在しない。平壌市民は、今回の会談で米国の「本音」が露呈したと見ている。11月に大統領選挙を控えたブッシュ政権が、「時間稼ぎ」のために6者会談を利用しようとしているとの見解が主流である。
核問題の平和的解決が先送りされた点についても、国内外の世論にはギャップがある。北南問題を担当する平壌の関係者は、「米国は対話の流れを逆転させようとしている」と指摘した。彼は南朝鮮における「大統領弾劾」の動きを「根拠」としてあげた。「大統領弾劾」は、南朝鮮が核問題や対北政策で民族自主の路線に向かうことを遮断するためのもので、「米国の意図」を反映したものであるという。
平壌市民は、6者会談の継続によって緊張の激化を回避できるとは思っていない。米国によってもたらされるかもしれない「不測の事態」に警戒心を募らせている。米国の政策に追随し、「改正外為法」「特定船舶入港禁止法」など、経済制裁の法制化を進める日本に対しても「強硬策」による対応を主張する世論が高まっている。

「拉致カード」の真相

平壌発で国内世論をこのように伝えると、海外メディアは「表面上は強硬姿勢を示すが、実際の外交では現実的な対応をとらざるをえない」などと注釈をつける。朝鮮中央テレビや労働新聞などが伝える「強硬姿勢」は「国内宣伝用」で、外国との交渉において「北朝鮮は原則よりも実利を追求するだろう」というわけだ。海外メディアが朝鮮外交を解説する際に、よく使うレトリックである。
第2回6者会談終了から数日後、朝鮮外務省の関係者から興味深い話を聞いた。
「朝鮮の外交官が『実利』を追求するような行動をとれば、人民が黙っていないでしょう」
彼は、対日外交が専門で日本の世論動向について独自の分析を披露した。結論からいうと「日本の対朝鮮強硬策は、いうならば最後のあがき」であり、「脆弱性の表れ」だというのだ。
昨年末、北京で朝鮮外務省関係者と日本の「拉致議連」メンバーの接触があった。第2回6者会談の直前には、日本の外務省関係者が平壌を訪問した。日本のメディアのほとんどは、一連の交渉で拉致被害者家族の帰国問題だけが話し合われたかのように伝え、「北朝鮮は政治、経済的窮地から脱するルートを対日関係改善に求め、『拉致』カードを切った」と解説した。
平壌で取材してみると、日本で報道されなかった事実を確認することができた。朝鮮側は一連の交渉で、朝・日平壌宣言の精神に背いた日本の行動を厳しく追及したという。特に、日本の米国追随姿勢を問題視した。朝鮮の国内世論を背景に「超強硬策」の対応もありえるとの警告メッセージを伝えたという。
前述の外務省関係者も「日本が態度を改めれば、拉致問題は実務的に解決できる。朝鮮が日本と会談を行う目的は、植民地時代の歴史を清算するためだ」と指摘した。


「主導権は朝鮮に」

今日の朝鮮民族は外国勢力によって支配され、抑圧された過去の朝鮮民族ではない―、平壌市民が常に口にする言葉だ。朝・日平壌宣言発表から1年6カ月、核を巡る米国との攻防戦が激しさを増す中、国家と民族の「尊厳」に対する人々の意識は一段と高まった。
「われわれは被害者だ。何のために加害者である日本に頭を下げる必要があるのか」
外務省関係者のこの指摘は、平壌市民たちの声とすこしも違わなかった。対日関係における原則は国内の世論、メディアそして外交政策のすべてに一貫している。
「在日同胞が厳しい状況に置かれていることは知っている。日本のメディアの伝える情報をうのみにすることなく、今の現実を冷静に判断してほしい。主導権は朝鮮にある」
外務省関係者との対話から数週間後、労働新聞(23日付)に対日問題に関する長文の論評が掲載された。内容は外交官から聞いた話を彷彿させるものだった
論評には次のような一節がある。
「実現不可能なことをできるといって、じたばたする者ほど哀れな人間はいない。対朝鮮圧殺をもくろむ反動勢力は、まさにそのような人間たちである」
平壌の視点がとらえた、現在の日本の姿である。(金志永記者)


特定船舶入港禁止法など制裁法に反対し、朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会槙枝元文議長が談話日朝平壌宣言の誠実な履行を

2000年9月、日朝首脳会談が平壌にて開かれた。この日朝首脳会談と発表された日朝平壌宣言こそが、日朝間の不幸な歴史を清算するまさしく歴史的な会談であり宣言である。日朝両政府が平壌宣言を誠実に実行に移すならば、日朝国交正常化は容易に実現可能である。
日朝平壌宣言は、過去の清算、日本による朝鮮植民地支配の謝罪と償いを基本原則としている。それが最も重要で緊急の課題である。日本政府が、国交交渉再開の前提条件としている拉致問題は、宣言のなかに明記されていない。しかし、「懸案事項」のなかに含まれることは、朝鮮民主主義人民共和国(以下共和国)の指導者・金正日総書記みずからが認めたことからも明らかである。共和国が日本人拉致の事実を認めたのは、日本が圧力をかけたから、制裁措置をとったからではない。小泉首相が直接、金総書記に対して、過去の清算に前向きに取り組むと表明したからである。この事実から、いま進められている特定船舶入港禁止法など制裁法の制定は何ら問題解決につながらないことが明らかである。
日本政府に求められているのは、制裁法を制定することではなく、また拉致問題の解決を前提条件とするのでなく、共和国と「相互尊重と対等な立場での協議という精神の下」(第2回6者協議の議長総括)、国交正常化のための政府間協議を再開することである。拉致問題については、これと平行して実務者レベルで協議すれば済むことである。日朝平壌宣言の趣旨に沿って、ただちに日朝国交交渉を再開するよう強く訴える。

過去を真しに振り返るとき

今年2月初め、日露戦争開戦100周年を向かえた。日露戦争は朝鮮半島の支配権をめぐる戦争であり、その結果、日本は朝鮮民族の外交権を奪い、植民地支配を実質的に完成させた。それから100年後のいま、南北朝鮮や中国などアジア諸国・民衆から、日本はふたたび軍事大国化し朝鮮半島の覇権をめざして戦争をしかけようとしているのではないか、と危ぐする声が広く聞かれるようになった。
また、かつて日本軍国主義は、朝鮮植民地支配の過程で、数百万人の朝鮮人を強制的に日本などに連行した。戦地へ送られた若者も多かったし、それに合わせて少なくとも20万人の朝鮮女性が兵士のための従軍慰安婦として連れ去られた。現在、日本に在住する朝鮮人・韓国人の多くは戦時中に朝鮮半島から連れて来られた人々であり、その子どもたちであり、孫たち、ひ孫たちである。
特定船舶入港禁止法案は、こうした侵略戦争や植民地支配によって甚大な被害を及ぼした朝鮮半島をはじめとする近隣諸国の人々の思いを踏みにじることになる。

「安保」を理由とした制裁法の危険性

入港禁止法案の発動要件には「わが国の平和と安全の維持のために特に必要と認められるとき」とある。改定外為法と同様に「安保」を持ち出している。
ところが、すでに国土交通省が、共和国籍船舶にねらいを定めた海洋汚染防止法案や保険未加入船入港禁止法案などを国会に上程している。にもかかわらず、なぜ別途「安保」を理由とした入港禁止法を制定しようとするのか。そもそも既存の海上保安庁法だけでも充分対応できるはずである。
安保を理由とした制裁法は、東アジアの緊張を高める元凶となり、発動を想定した相手からは宣戦布告とみなされる危険極まりない法律である。にもかかわらず、あえて「安保」を持ち出したのは、有事法制関連7法案の国会通過に道を開き、憲法9条をなし崩しにするなど「戦争のできる国」へと突き進むためではないか。
入港禁止法案は、自衛隊のイラク派兵につづいて、日本が戦争への道に踏み出すための大きな一歩にほかならない。

在日朝鮮人に対する人権侵害

入港禁止法案はまた、拉致問題や核問題の解決を意図しながら、それと直接かかわりのない在日朝鮮人を直接の適用対象としている。まったく見当違いの法案と言わざるをえない。
改定外為法につづいて入港禁止法が成立すれば、在日朝鮮人は祖国に住む家族や親族に衣料品や日用生活品、生活費などを送れなくなる恐れがある。親族訪問や修学旅行など自由往来もできなくなる。これは明らかな人権侵害である。「万景峰」号など共和国籍の船舶に狙いを定めた入港禁止法は、在日朝鮮人の基本的人権を損なうことになる。
こうした内容の入港禁止法が成立すれば、共和国バッシングにとどまらず、在日朝鮮人バッシングに法的な正当性を付与することになりかねない。98年のテポドン騒動の際、在日朝鮮人の子どもたちがチマ・チョゴリを切り裂かれるなど深刻な被害を受けた。改定外為法の制定によって、「ふたたびあの忌まわしい事件がおこるのではないか」と在日朝鮮人社会は不安感を募らせている。そこに入港禁止法案まで審議入りし制定されることになれば、心無い日本人による犯罪行為が多発することは火を見るより明らかである。
在日朝鮮人バッシングを容認する制裁法を認めるのかどうか、日本人一人ひとりの人権意識が問われている。

6者協議の合意違反

さらに、入港禁止法案などの制裁法は、国際的な合意に反している。
昨年8月に開かれた第一回6者協議では「状況を悪化させる発言や行動をとらない」と「共通認識」に明記した。今年2月末に開かれた第2回協議でも「相互尊重と対等な立場での協議という精神の下、対話を通じ、平和的に核問題を解決する」と「議長総括」に書かれている。「状況を悪化」させ、「相互尊重と対等な立場」を損なう制裁法は明らかな合意破りである。国際的に信頼を失う制裁法の制定を許すわけにはいかない。
最後に、日朝両首脳が署名した日朝平壌宣言には「双方は国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらない」とある。入港禁止法案など制裁法は、明らかに共和国の安全を脅かすことになる。日朝平壌宣言に反して、相互の信頼関係を損ない、関係を悪化させる悪法の制定は絶対に認められない。


「朝鮮新報」04/03/16

対朝鮮経済制裁を憂慮する日朝青年学生緊急集会の発言から

対朝鮮経済制裁を憂慮する日朝青年学生緊急集会」(主催=日朝国交正常化を求める青年学生連絡会)が12日、東京永田町の衆議院第1議員会館で行われた。「改正外為法」「特定船舶入港禁止法案」など、朝鮮に対する経済制裁に反対する朝鮮大学校学生、日本の大学に通う同胞学生、日本の大学生、関係者ら170余人が参加した。集会では連絡会代表の報告、朝鮮大学校任京河教員の講演、8人のリレートークが行われ、集会の最後に「特定船舶入港禁止法案」に反対するアピール文が採択された。

リレートークでの発言を紹介する。
2000年から、主に粉ミルクの支援を行ってきた。日本政府は00年まで行ってきた余剰米の寄付を排外主義的な国民世論と外交上の駆け引きのため中断している。現在は、人道支援団体や在日朝鮮・韓国人団体などが支援を続けている。今回の法案は、こうした民間次元での支援すら困難にするもので、朝鮮との政治的緊張を高めるだけだ。法案の廃止を求める。(上野さとし、北朝鮮人道支援ネットワーク「ハンクネット」代表)
今回の法案は朝鮮に圧力を加えるものだ。拉致問題は拉致問題としてさまざまな問題を残しているが、それはそれで解決されることを望んでいる。しかし、日朝間には日本の植民地支配の清算問題などがあり、加害者である日本が責任を負うべき問題についての議論は一切なされていない。日本は朝鮮に対する信頼を持ち合わせていないように見えるが、よく考えれば日本は要求ばかりし、相互信頼のための誠意を何も示していない。日朝宣言にのっとった誠実な対応を求める。(澤入みゆき、大学生)
日本国の慣例と学会の通説の立場から、法律論の提言をしようと思う。マイノリティーは犠牲になったとしても、マジョリティーの意見を重視するのが日本国憲法下での民主主義制度だ。在日朝鮮人に対しては特別な扱いをするべきだ。みなさんの民族自決権、民族に関する自己決定権はある。最後まで守り通してほしい。(山本康司、中央大学法学部法学研究科助手)
これまでも多くの人が朝鮮に行き、交流や人道支援を行ってきた。日朝首脳会談以降、朝鮮批判が強く、活動にも陰りが見え始めたが、それでも地道に活動してきた。思った以上に日本社会の世論が、私たちの考えとかけ離れていないということを感じている。これらの法案が成立すると肉親への送金や離散家族の祖国訪問が困難になり、ピースボートの船を使っての民間交流もなくなる可能性もある。強硬姿勢ではなく、対話で平和的に解決してほしい。(栗嶋聡子、NGO団体所属)
日本の国際協力のNGOとして、96年から朝鮮に人道支援を行ってきた。初めて訪朝した時、日本は朝鮮との信頼関係を長い間作ってこなかったと感じた。地道な支援を続ける中で、相手の顔がどんどん見えていく関係になっていった。経済制裁への法案がどれだの問題解決になるのかと疑問だ。やっと打ち解けた朝鮮の人々たちとの信頼関係を簡単に崩されてしまうと思うと悲しい。この日本から、反対の声をあげて地道な活動を続けていきたい。(寺西澄子、KOREAこどもキャンペーン)
歴史とは関係なく、最近の日本の状況を見ていて、50年前の植民地時代と言わないまでも、1週間前のことも忘れてしまうようなことになっている。結果からみると、日本が武器を用意して相手に銃口を突きつける形で交渉に臨んでいると思う。朝鮮は日本に対して、植民地清算をしろとずっといい続けている。それを日本はしっかりと受け止めるべきだ。なぜ朝鮮政府が原則を守って過去の清算をしろと言っているのかを真剣に受け止める必要がある。(石田精一郎、東京大学日朝関係史研究会)
11日に外務省を訪れ、「日朝ピョンヤン宣言を支持し、北東アジアの平和と安定を求める署名」を提出してきた。朝・日間の非正常な過去を清算し、懸案事項を解決して、関係を樹立することが地域の安定と平和に寄与すると主張してきた。対朝鮮経済制裁がまかりとおるようになった時、また朝鮮と日本の対話は閉ざされてしまう。対話を促すために、これからも努力をしていこうと思う。(宋忠鉐、「日
朝青年友情プロジェクト」共同推進委員会、在日本朝鮮青年同盟中央本部国際部長)

昨年の7月下旬に平壌で開催された、朝鮮半島における平和保障に関する国際討論集会に参加してきた。米国、中国、ロシアなどさまざまな国が参加していた。8月2日に日本に戻り、外務省の北東アジア課を訪ねた。日本は一刻も早く「平壌との対話を再開すべき」「平壌はいつでも話しに応じる」と伝えた。政府は対話と圧力を掲げているが、両立するはずがない。日本政府が日朝近現代史100年を正確に振り返って、新しい総括をして、日朝関係を21世紀にふさわしく根底から作り直す努力をしてもらいたい。(横堀正一、日朝学術交流協会事務局長)(文責=編集部)


〈南の国情院と連携する洪敬義〉 反総聯「提言」の黒い背景

2月17日、インターネット上に「21世紀、総聯の改革と再生のための提言」なるものが、朝鮮語と日本語で掲載された。総聯はこの「提言」が出た直後に、洪敬義が近畿人権協会会長職を悪用して発表したものだということを確認した。洪敬義たちは、「提言」をうんぬんして関心を引こうとしているが、その本質は総聯に敵対する内外勢力の手先となり、総聯第20回全体大会を控えたこの時期に「提言」を発表することによって、同胞社会を混乱させ同胞たちを祖国と総聯から引き離そうとする点にある。洪敬義が公然と反総聯策動を繰り広げながら、同胞たちを愚ろうし世論をあざむこうとしていることに怒りを覚えた活動家と同胞、商工人たちが本社編集局に通報、提供してくれた情報をもとに、その背後を明らかにする。
洪敬義は現在、「悪事を行なう者、白日を忌む」ということわざどおり、自らの正体を隠すことに躍起になっている。
洪敬義は当初、自分の名前を伏せて「提言」を行おうとしたが、発覚するや今度は自分がやったと開き直った。また、南朝鮮の国家情報院(旧国家安全企画部)との関係が明らかにされるや、2月27日にインターネットを通じ「総聯中央の『批判文書』に対するコメント」なるものを発表した。
しかし、洪敬義はこの「コメント」を出したことによって、かえって自らの正体をさらけ出すことになった。
洪敬義がどれほど厚顔無恥であるのかということは、「コメント」のなかで「パクチョンチェという人物」が「国家情報院とは全く縁もゆかりもない人」であるとか、「羅鐘一氏」も「南北和解と交流」を推し進めようとしている学者出身の政治家であるなどと、彼らを積極的に庇護しようとしたことに現れている。

接触を正当化

洪敬義は「コメント」のなかで、「パクチョンチェという人物についていうなら、国家情報院のいわゆる『対日工作員幹部』として暗躍云々というのは全くのでっち上げである。彼は国家情報院とは全く縁もゆかりもない人である」と述べている。
しかし、これは黒を白と言いくるめる真っ赤な嘘である。朴鍾彩参事官は、外交官の仮面をかぶった南朝鮮国家情報機関の対日工作担当者である。
「朴鍾彩」について言うなら、彼は駐日「韓国大使館」内の国家情報院責任者である朴鐘哲公使に次ぐ参事官ポストにいる情報機関の幹部である。
この事実については、駐日「韓国大使館」の関係者もそのように言っており、民団幹部たちも周知の事実だ。
朴参事官は、総聯工作を専門に担当する「任務」を受けて02年8月、日本に派遣され、羅鐘一前大統領国家安保担当補佐官との連携のもと、情報活動を行ってきた。

日本の公安関係に精通した消息筋によると、「朴鍾彩氏は総聯と北朝鮮の研究、分析などのために日本に派遣された人物」であり、日本の公安当局者とも随時に会って情報交換をしているという。
日本の公安当局は02年9月以後、「総聯の内部資料を収集、提供してほしい」との米諜報機関の要請に従い、総聯の内部探知と瓦解工作を決定的に強化する措置を取ったという。ここに、朴参事官が情報交換を通じ、一役買っているという指摘が多い。
洪敬義が、このような人物と深い関係を結び、連けいを持ち始めて久しい。それは、朴参事官が日本に就任して間もない02年末に洪敬義あてに歳暮を、03年7月にも中元を贈っていることからもわかる。
洪敬義は、この事実を否定できず、「コメント」のなかで朴参事官を庇護したのである。朴参事官とのこうした関係が明るみに出るのを恐れた洪敬義が、総聯中央の文書が発表されるとすぐに「コメント」を通じ、わざわざ「彼は国家情報院とは全く縁もゆかりもない人」だと強調したのは偶然ではない。

「総聯工作」に呼応

洪敬義は、羅前補佐官が昨年来日した際、彼と会った。洪敬義は「コメント」のなかで、笑止千万にも羅前補佐官は国家情報院の改革を推進する政治家であると高く「評価」し、彼と会った事実を認めている。
羅前補佐官は、国家情報院の海外、「北韓」担当第1次長、外交担当特別補佐官を務めた人物だ。
6.15北南共同宣言以後も、南朝鮮には「国家保安法」が厳然として存在しており、国家情報院の性格は少しも変わっていない。のみならず、国家情報院が民団中央の幹部をソウルに呼び寄せ、総聯を「弱体化」させ民団が「在日同胞社会の指導母体」にならなければならないと「指示」し、「方針」と「行動計画」まで与え活動していることは民団同胞周知の事実である。
また、駐日大使館と各地領事館の参事官や領事の肩書きを持った国家情報院メンバーが、総聯に対する「瓦解工作」を繰り広げていることも広く知られている。
羅前補佐官を知る南朝鮮人士たちは、「総聯に非常な関心を持った人物であり、総聯内部に触手を伸ばし『韓国支持勢力』を形成することに意欲を燃やしている人物」であると評している。
羅前補佐官は昨年、盧武鉉大統領の日本訪問に先立ち、事前調節をするという口実で訪日した際、朴参事官が連けいを持っている総聯傘下の商工人、知識人らとひそかに会った。
洪敬義は昨年5月27日夜、東京在住の商工人と彼が経営する会社の役員らと共に、帝国ホテルの地下にある日本料理店「伊勢長」で羅前補佐官と長時間にわたって面談した。
洪敬義はその時、羅前補佐官が別の思惑を抱いて、南朝鮮当局が総聯の民族教育をバックアップすると言ったことに積極的に呼応し、総聯の「実情」について自分の主観に基づき「訴える」など、総聯団体の地方責任者としてはあるまじき行為を働いた。
このように、洪敬義は近畿人権協会会長職にありながら、同胞たちの権利を守るどころか総聯を瓦解させ、民族教育を横取りしようとする南側勢力と関係してきた。それでいて、これまで表では反省するふりをしながら、裏では引き続き策動を重ねてきたのである。

怒る同胞、活動家

このような背後を持つ洪敬義らが、総聯と人権協会組織に背をむけ、「提言」なるものを発表したことは、完全なる反組織的行為である。
人権協会中央は、洪敬義が犯した反総聯、反同胞行為の重大性を明らかにし、近畿人権協会会長職から解任することを決定したにもかかわらず、彼はその決定を無視て居座っている。
そのため、総聯の活動家と同胞たちの間では、彼の恩を仇で返すような反総聯、反同胞的行為に対する非難の声が高まっている。
現在、活動家と同胞たちが総聯第20回全体大会に向けて愛族愛国事業に献身している時に、洪敬義らは1世が血と汗で築いてきた業績とそれを引き継ごうと奮闘する2世の努力、そしてこうした業績を継承していこうとする新しい世代の希望と抱負を冒とくし、挑戦しているのだ。総聯の活動家と同胞たちは、彼らの犯した罪を決して許さないだろう。

「朝鮮新報」 04/02/16

外為法成立に日本の各団体が反対声明


日本が朝鮮に対し「単独経済制裁」を目的とした外国為替法改正案が1月29日に衆院を通過、9日成立したことと関連し、日本のさまざまな団体がこれに反対する声明を発表している。以下、声明の要旨を紹介する。
 改正案は目的に「安全の維持」を加え、日本の独自判断で北朝鮮への経済制裁を可能にする内容となっており、いわば「有事関連法」としての役割を持たせるものだ。
政府は「法制定と発動は別」と述べているようだが、法をもてあそび「制裁」をふりかざすそのような態度は、広く国際社会の理解を得、信頼される姿勢とはいえない。
さらに、「特定外国船舶入港禁止法案」や永住外国人の帰国者「再入国禁止法案」などという、日本の植民地支配の犠牲となった在日朝鮮人の基本的人権まで奪うような法案が用意されていることに、日本人として深い悲しみと強い憤りを禁じえない。(清水澄子・朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表、津和慶子・I(アイ)女性会議中央本部議長、2月5日)
ブッシュがイラク攻撃の次に狙う新たな朝鮮戦争において、日本は参戦するための有事関連諸法案の制定を急いでいるが、「経済制裁法案」はその決定的な一環である。
朝鮮への「経済制裁法案」は「外為法改悪法案」のほか、「特定外国船舶入港禁止法案」(仮称)、「再入国禁止法案」(同)が用意されている。朝鮮へのこれら「経済制裁法」とその発動は、日朝間の対立関係を「宣戦布告」へと至らせる歴史的暴挙である。
求められているのは、朝鮮人民への敵視政策を平和友好政策に転換しなくてはならないことだ。そのために戦後補償を含めた早期の日朝国交正常化は、きわめて重要な外交課題であるはずだ。
日本政府は朝鮮への「経済制裁法案」の制定を白紙撤回し、戦後補償を含めた日朝国交正常化を速やかに実施しなくてはならない。(アジア共同行動日本連絡会議、1月31日)

通商経済法である外為法は、国際収支の均衡、通貨の安定、わが国経済の発展を目的に、資金の移動などに対する規制は必要最小限とし、その管理、調整は例外的扱いとされてきている。しかるに本「改正」案は、外為法をわが国の安全保障の手段として活用するものである。
また、北東アジアの平和を維持、前進させるための2国間合意や多国間協議が進行しているなかで、わが国が「経済制裁法」を定めることは、日朝平壌宣言や6カ国協議という平和の努力に逆行し、新たな緊張を持ち込むものにほかならない。
最後に、外為法を有事法制化することが妥当か、対応措置によって拉致問題が本当に解決できるのか、北東アジアの平和にとって支障とならないかなど、解明されるべき論点が多いにもかかわらず、半日の委員会審議で可決するなどほとんど暴挙に等しい。(自由法曹団、2月4日)
在日朝鮮・韓国人の少なからぬ人々が朝鮮に血縁を持ち、いわゆる離散家族となっているのは、日本の朝鮮植民地支配と無責任な戦後処理、半世紀以上も朝鮮と国交を結ばずにきた敵視政策の結果である。
この歴史的経緯を無視したこれらの法案は、在日朝鮮・韓国人の家族や親せきの物心の絆を断ち切るという非人道的な制裁措置であり、在日朝鮮・韓国人を人質にするという稚児的で犯罪的な措置と言わざるを得ない。
また、東アジアの平和構築を図ろうとする近隣諸国の政府や市民、何よりも食糧難に苦しむ朝鮮に人道支援を行っている諸団体の努力を踏みにじり、新たな緊張の火種を持ち込もうとする時代錯誤の冷戦的発想である。(北朝鮮人道支援ネットワーク・ジャパン、2月5日)
もし朝鮮に経済制裁が行われれば、現在の食糧不足とあわせイラクと同様、あるいはそれ以上の事態が生み出される可能性が強い。この間も、さまざまなNGOが人道的食糧支援を行っているが、私たちは「経済制裁より人道的食糧支援」を行うべきだと強く主張する。
加えて送金の停止にせよ、船舶の入港禁止にせよ、朝鮮植民地支配と強制連行などの結果、日本に定住せざるを得なかった在日朝鮮人にとっても、親類をはじめ祖国の人々との人的物的往来そのものに著しい制約をきたすものとなる。これは在日朝鮮人の基本的人権に対する重大な侵害行為である。再入国禁止法案などはその最たるものである。(3.1朝鮮独立運動85周年イラクにも朝鮮半島にも平和を! 行動実行委員会、1月29日)
相変わらずアホが多い 正日が頭を下げて認めた数百人と言われている「拉致被害者」の人権には一言も触れていない 食料難は我が国のせいか? 強制連行? いつまでアホな事言ってるの では、全員強制送還しますか!! 結局お前たちのような馬鹿が北朝鮮をさらに孤立化させてるんじゃないのか


「朝鮮新報」04/02/05

外為法改正案衆議院通過で朝鮮外務省代弁人、談話発表

外為法改正案が1月29日、衆議院を通過したことと関連し30日に朝鮮外務省スポークスマンが発表した談話の全文は次の通り。
日本の衆議院は1月29日、外為法改正案を通過させた。
改悪された法案には、「日本の平和と安全」のためだという名分のもと、必要なら朝鮮に対する送金や貿易を停止し、国連決議や国際的合意なしにも日本単独で朝鮮への制裁措置を発動することができると規定されている。
改悪された外為法が、激化する米国の対朝鮮敵視政策に便乗してわれわれを経済的に窒息させ、孤立、圧殺することに目的を置いていることは久しい前から周知の事実であった。
日本の極端な行為は、国際法を順守し、互いの安全を脅かす行動をしないと確約した朝・日平壌宣言に対する乱暴な違反である。
古今東西の歴史には、日本のように信義のない国は記録されていない。
「過去の植民地支配によって朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からの謝罪の意を表明した」と朝鮮人民に許しを請うたのがわずか1年4カ月前の日本であった。
そうした日本が謝罪はおろか、今になって短刀を抜いて被害者に対する制裁を発動するというのだから、日本式倫理の狡猾さを、正常な思考によってどうして理解できようか。
日本は今回、わが朝鮮に対する経済制裁を国策として立法化することにより、朝・日関係を予測しがたい局面へ追い込んでいる。
事態はこれだけにとどまらないであろう。
今回の事態によって北東アジアの平和と安定は破局の状態に瀕し、朝米間の核問題によってそうでなくても先鋭な朝鮮半島の情勢はさらに激化の一路をたどるであろう。
現在、日本政府と与党内では今回の法案採択が「北朝鮮に与える経済的、心理的打撃は計り知れないだろう」と公言しながら調子に乗って誰かの譲歩的効果を期待している。
日本は愚かな余り、甚だしく誤算している。
わが朝鮮は、その歴史の全行程で常に自主権を生命と見なしてきたし、誰かの圧力に屈して原則を譲歩したり、奴隷的屈従を甘受した例はない。
ましてや日本のような戦犯国の脅迫にわれわれが屈すると期待するなら、それこそ笑止千万なことだと言わざるを得ない。
日本はよこしまで信義のない行動により、わが手で己の目を突いた。
われわれは、日本が6者会談参加を唱えながらも経済制裁と封鎖でわれわれの主権を著しく侵害し、敵視政策を実践に移そうとしたことに対して絶対に傍観せず、必要な対応措置を取るであろう。
報復には報復で、強硬には超強硬で応えるのがわれわれの気質である。
日本は、たわいのない策動によって生じるすべての結果に全責任を負うべきである。(朝鮮通信)


外為法改正に反対し新社会党、日朝協会が談話

日本が単独で朝鮮に対する経済制裁を実行できるようにする外国為替法、外国貿易法改正案が1月29日、衆議院を通過したことと関連し、新社会党中央本部と日朝協会はそれぞれ要旨次のような抗議談話を発表した。
[新社会党] 外為法改正は日朝関係をさらに悪化させ、懸案事項の解決を遠ざける挑発的なものであり、強く抗議する。
経済制裁は通常、国連の制裁決議か多国間合意によって行われる。米国のイラク制圧は、経済制裁によって50万人以上のイラクの子どもたちの栄養失調死のうえに強行された。
アフガン攻撃も、経済制裁によって大干ばつ下の民衆をさらに飢餓状態に追い込む中で行われた。朝鮮に対する経済制裁の画策は「アフガン・イラク方式」の適用で疲弊させ政権打倒を図ろうとするもので武力行使と同質のものである。
植民地支配の謝罪、清算と日朝国交正常化を合意した日朝平壌宣言から1年半が過ぎようとしている。しかし、日朝関係の動きはかつてなく悪化している。事態を悪化させた主要な原因が、対米追随の朝鮮敵視政策を執ように展開している日本の側にあることは明白である。
今回の外為法改正などによって、拉致事件などの解決を促す「カード」や「テコ」にしようという態度は事態をさらに悪化させる可能性が強い。第1回6カ国協議における「状況を悪化させる行動を取らない」との合意にも反している。
小泉政権はブッシュ政権への追随をやめ、日朝国交正常化のための政府間交渉を促進すべきであり、対話の障害を作り出すべきではない(1月29日)。
[日朝協会] 日朝平壌宣言は「日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した」としている。
このことは日朝間の問題の解決は、あくまで外交的、平和的手段によって解決されるべきであることを明瞭に物語っている。
また昨年8月の第1回6カ国協議は、6項目の合意を確認した。その中の第4項目は「六者会合の参加者は、平和的解決のプロセスの中で、状況を悪化させる行動をとらないことに同意した」としている。
今回の外為法の改正は、平壌宣言の精神や6カ国協議の国際合意に反するものであり、強く反対する。
また改正案の提出政党、改正案に賛成した各政党、各会派、各議員に強く抗議する
(1月30日)。




「朝鮮新報」04/01/20

〈朝鮮国籍取得、日本国籍離脱問題〉 
「未承認国」理由に拒否の日本政府に対し日弁連、受理を勧告

日本国籍を有していた在日同胞10人が1998年7月、朝鮮民主主義人民共和国の国籍を取得し、その後、日本政府に国籍離脱届を提出したものの、受理しない扱いをしているとして人権救済を申し立てた。これを受けた日本弁護士連合会(本林徹会長)は昨年12月25日、日本国法務大臣に日本国籍喪失届を受理するよう勧告した。日本国籍離脱の自由は日本国憲法が保障している「基本的人権」であり、国際的にも国籍離脱自自由は認められているが、日本政府は朝鮮が「未承認国」であることを理由にこれを拒否している。人権救済を申し立てた同胞らは「精神的負担が大きく、生活上の不都合も多い」とし、一日も早い日本国籍離脱届の受理を希望している。
人権救済を申し立てたのは、朝鮮人の父と日本人の母との間で非嫡出子として出生し、日本国籍を有していた16歳から55歳までの男性10人。いずれも本人の意思で、朝鮮政府に入籍を請願。98年7月、「入籍通知証明書」の発給を受けている事実を知り、日本政府に国籍離脱届を提出した。
日本国憲法第11条第1項によると、「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」と規定。また第22条第2項では「国籍離脱の自由」を保障している。
さらに国籍法低触条約(1930年)、世界人権宣言(48年12月10日の国連総会決議)など、国際的にも国籍離脱の自由は認められている。
日本国憲法、国際慣習法などがこうであるにもかかわらず、日本政府は朝鮮が「未承認国」であるとの理由で、国籍離脱届を受理しようとしない。また、朝鮮国籍は日本の国籍法上の「外国の国籍」でないとしている。
法務省はその理由について、@未承認国家の発行する帰化証等では当該国官憲が発行したものであるかどうかが確認できず、外国の国籍を取得したことを認定できないA未承認国家の帰化証明書などを正式な公文書として認めることは、国家を承認した
のと同じ結果となるため、国の外交政策と行政事務との間に矛盾が生じるおそれもある―ことを上げている。
しかし、日本政府は、未承認国である台湾の地方法院公証人が作成した婚姻証書、離婚証書、養子縁組証書を公式な公文書として認め、受理している。
その一方で、朝鮮が外交関係を結んでいる国は2002年12月現在、152カ国にものぼっている。また、朝鮮は国連にも加盟している。
さらに、日本政府は02年の朝・日平壌宣言を通じて、「国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力」を注ぐとし、その実現の過程においても、「日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む決意を表明」している。日弁連の勧告は、日本国の未承認国である朝鮮国籍が、国籍法の「外国の国籍」に該当するようにその解釈を変更し、日本国籍喪失届を受理するよう求めている。
◇人権救済申立者のコメント
日本政府はわれわれの日本国籍の離脱を認め、朝鮮国籍取得者として日本で堂々と生きていけるよう保障すべきだ。これは当然の権利でもある。
人権救済を申し立てた者は全員、男性だ。子どもには自分の国の国籍を取得させ、民族教育を受けさせたいという気持ちでいっぱいだ。しかし、日本国籍を離脱できないことから、子どもには妻の国籍を取得させている。外国人登録を携帯するようになれば、本名は「李」なのに、登録上は「金」になることもありえる。一日も早く、日本政府は人道的立場からこの問題を解決すべきだ。
そもそも、日本は朝鮮と国交がないことを理由に、離脱届を拒否しているが、それは日本が朝鮮に対して犯した過去を清算していないからだ。その一方で、朝鮮は国連にも加盟し、世界的にも国家として認められている国だ。国交がなくても、こうした事実も踏まえて、日本政府はわれわれの日本国籍の離脱を認めるべきだ。(関東在住、40代)(羅基哲記者)


関連日本のメディア↓

04/01/21

一部在日朝鮮人の再入国禁止=拉致議連が入管特例法改正案

超党派でつくる拉致議連は20日の総会で、在日朝鮮人など特別永住者のうち「日本政府破壊を主張する団体を結成したり加入したりしている者」に対し、出国後の再入国を認めないことを柱とした入管特例法改正案をまとめた。各政党に今国会での成立を働き掛ける。 


04/01/21

対北制裁、今国会での法整備を確認

北朝鮮による拉致事件解決を目指す超党派の拉致議連と自民党有志の対北朝鮮外交カードを考える会は20日、外国為替・外国貿易法(外為法)改正案など、日本独自の判断で北朝鮮への経済制裁を可能とする法整備を今国会で進める方針を確認した。

この日開かれた拉致議連の総会では、会長の平沼赳夫・前経済産業相が「拉致問題は政府間の正式な交渉で解決することが原則」と強調した。そのうえで、北朝鮮側が昨年末に北京で平沢勝栄自民党衆院議員(拉致議連事務局長)と会談した際、拉致被害者家族の帰国実現で提案した「被害者が平壌空港まで出迎える」条件は容認できない、とする声明を採択した。
外交カードを考える会の会合では、メンバーの山本一太参院議員らが中心となって作成した特定外国船舶入港禁止法案について国会提出の党内手続きを早急に進めることで一致した。
拉致議連と考える会が、対北朝鮮経済制裁の法整備を早期に進める方針を打ち出したのは、昨年末以来、拉致被害者家族の帰国問題で拉致議連幹部に接触を図るなど非公式ルートで揺さぶりをかける北朝鮮に対し、「厳しい態度で臨んだ方が結果的に事態打開につながる」との判断が大勢を占めているためだ。
北京での平沢氏との会談に関連しては、同席した日本側民間人に対して北朝鮮側が「3月20日までに拉致被害者家族を日本に戻す」という考えを示したことも明らかになっている。
しかし、今月16日に平壌で行われた日朝外交当局者協議では「拉致事件は具体的な話し合いに至らなかった。政府間協議を求めたが、北朝鮮側は否定的だった」(斎木昭隆外務省アジア大洋州局審議官)という。このため、平沢氏への接触についても、政府・与党内には「経済制裁の発動を避けるための煙幕」との見方が強まってい
る。


「朝鮮新報」04/01/08

〈在日朝鮮学生少年芸術団の平壌迎春公演〉 感動、涙を誘った124人の思い


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【平壌発=姜イルク、盧琴順記者】万景台学生少年宮殿で昨年12月31日に行なわれた2004年を迎える学生少年らの迎春の集い。前号既報のように歌や踊りなど18の演目が披露された。また、日本各地の朝鮮学校から選抜、構成された在日朝鮮学生少年芸術団(児童、生徒124人)も参加。日本社会での暴行、暴言事件にも屈することなく元気に学び、民族の代を継いでいく思いを歌と踊りで表現した公演は、観客の感動を呼び、涙を誘った。集いの模様は、朝鮮中央テレビが31日の夜に続き1日、2日にも繰り返し放映した。3日からは一般市民を対象にした公演も行なわれ、連日多くの観客でにぎわった。

新春の集いでの在日朝鮮学生少年芸術団の公演「わがランドセル」
在日朝鮮学生少年芸術団の公演タイトルは「わがランドセル」。約5分間の舞台だった。
朝鮮学校に通う女子児童がある日、登校途中に見知らぬ男に襲われランドセルを奪われそうになる。その日以来、また襲われるのではないかと不安がる児童は学校に行くことをためらうが、オモニに勇気づけられ学校に行くことを決心する―。
児童、生徒たちは合唱と踊りを通じて、「われわれのランドセルには母国語と愛国の歴史が凝縮されている」ことを強調しながら、そのランドセルを何があっても最後まで守り抜き、どんな状況下でもくじけることなく民族の代を継いでいくとの決心を表現した。
生徒らがその熱い気持ちを込め力強く行進した時、観客席からは大きな手拍子が起き、舞台と観客席は一体になった。
昨年日本では、反朝鮮、反総聯の動きが頂点に達し、総聯施設や民族金融機関などに対する銃撃、爆発物設置事件や朝鮮学校に通う児童、生徒たちに対する暴行、暴言事件が頻発した。
こうした状況を背景に上演されたリアルな生徒らの公演は、観客らに日本社会に対する怒りとともに、大きな感動を与えた。
首都建設総局に勤める47歳の男性は、「異国の地で、生命の危険にさらされながらも幼い子どもらが民族教育を受けるということは、口で言うほど簡単ではないと思う。彼らの熱い思いが心に響き涙があふれ出た」。
対外事業に携わる40代の男性も、「涙が止まらなかった。苦境を乗り越えて学校に通う生徒らの姿に感動した。これからもしっかりとランドセルを守り抜いていってほしい」とエールを送った。
テレビで公演を見た市民たちからも、在日生徒らの公演はとても印象的で感動的だったという感想が多く聞かれた。

公演は民族の代を継いでいくとの決心を表現した
在日朝鮮学生少年芸術団が毎年、平壌で行われている迎春の集いに参加し始めて今回で18回目になる。通常、平壌での練習期間は1カ月以上もあるが、今回はたったの8日間だけだった。それだけに関係者らは当初、公演を成功させられるのか心配していた。
しかし生徒らは午前、午後につづき夜も宿泊している平壌ホテルで猛練習し、すばらしい公演に仕上げた。
舞踊の指導にあたった青少年課外教養指導局創作所のソン・ヒスクさん(55)は、練習中、半分眠りながら踊っている生徒の姿に涙をこらえたと話す。「朝鮮の生徒らもこのようなハードな練習には耐えられないだろう。きびしい状況を乗り越えてきた在日生徒らの精神力に感心する」。
一方生徒らは、「祖国の先生がみんな親切にめんどうを見てくれるので何の心配もない」(「慶姫さん、福岡朝鮮初中級学校初級部6年)と語る。
指導員ら関係者はもとより、ホテル各階の清掃・管理員らも親元を離れて暮らす生徒らのために特別に24時間体制を布くなど、健康はじめ生活に細心の注意を払い見守っている。
また、猛練習を消化する過程で生徒らも互いに励まし合うなど「団結がいっそう深まった」(康明騏さん、北大阪初中級学校中級部2年)という。
97年の迎春の集いに出演した在日本朝鮮文学芸術家同盟東京支部部員の金仙玉さん(21)は、練習に励み公演を成功させた後輩たちの姿を見ながら次のように語った。
「すぐに技量を吸収できる学生時代に、朝鮮トップクラスの先生の指導を受けられる生徒らはとても幸せだと思う。また何よりも、祖国の温かさを肌身で感じながら、同じ目標に向かって苦楽をともにした団員同士、深いきずなで結ばれる。私自身、今でも当時の友人たちと連絡を取り合い、励ましあっている。子どもたちにとって集いへの参加は、かけがえのない思い出になるだろう」と語った。


「朝鮮新報」04/01/07

松井やよりさん追悼シンポジウム「戦時性暴力をどう記録するか」、東京で開催

「松井やより追悼」1周年記念シンポジウム「戦時性暴力をどう記録するか―ドイツと韓国の試みに学ぶ」が、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW―NETジャパン)などの主催で昨年12月21日、江戸東京博物館ホールで開かれた。
シンポでは西野瑠美子VAWW―NETジャパン共同代表が、故松井やより氏の遺志である「女たちの戦争と平和資料館」建設と記録の仕方について@ジェンダー正義の視点に立ち、戦時性暴力(「慰安婦」問題と現代の戦時性暴力)に焦点を当てるA被害だけでなく、加害責任を明確にするB未来に向けた活動の拠点C国家権力とは無縁の民衆運動として建設、運営するD国境を越えた連帯などを挙げた。さらに5つの理念の具体的構想として「慰安婦」や近、現代の戦時性暴力の資料を集めたアーカイブスであるだけでなく、情報の発信基地であり、性暴力の根絶や女性の人権の確立のため、平和のための運動の拠点であること。さらに、ただ展示されたものを見るのではなく立体的な参加型の資料館作りをめざしたいと語った。また、尹貞玉韓国挺身隊問題対策協議会前共同代表が、日本帝国主義による植民地支配の形態について、天皇の直属する総督(陸軍大臣)が直接武力統治した過酷な支配に触れ、次のように指摘した。
「日本の朝鮮半島強制占領期の歴史は収奪の歴史である。その収奪の最後の段階が当時の朝鮮女性の性収奪であった。1945年以後にも、性奴隷被害女性に対する日本の人権侵害と、日本の指導者たちによって繰り返される妄言は稚拙な形で朝鮮半島を再び侵略しているのだ。公式謝罪と賠償を要求してきた被害者を無視して、『国民基金』を持って免罪符に換えようとした。石原東京都知事、森喜朗元首相などの妄言は、侵略を正当化しようとする国体論を繰り広げている。これは、朝鮮人にとっては愚民政策、強圧政策によって創氏改名を強行したか、どんなに無神経、かつ残忍に少女と若い女性を連行し、性暴力を続けたかということを、心理的に再び認識させるものだ」
また、シンポでは池田恵理子「女たちの戦争と平和資料館」建設委員長によるビデオ「アウシュビッツからベルリンへ 加害の記憶を辿る旅へ」が上映された。
この日、江戸東京博物館ではシンポの後、夜7時から詩人の石川逸子さん原作のドラマスティック・リーディング「地球という小さな星の上で」が上演され、約400人が観覧する盛況となった。
こんな問題はすでに論破されているではないか 本当に恥じなきブタちゃん達だ!!

「誠信」へのアプローチ -平和と和解の視点で-
「他者」を一方的に語る暴力性

昨年、朝鮮の貨客船「万景峰92」号が新潟に寄港した時のNHK報道を強く怒る。
「下劣で下品な報道。在日朝鮮人が祖国との往来に使っている定期航路をあそこまでおとしめて、嫌がらせする。民衆のレベルで(朝鮮に対して)何をやっても許されるということを、パブリックな放送によって、逆説的に範を垂れた酷い内容だった」

専攻は現代アラブ文学と第三世界フェミニズム思想。西洋フェミニズムの「普遍的正義」の裏に潜む異なる文化への根深い差別意識に鋭く切り込む。自らが民族、階級的な「加害者」の立場に位置することを自覚し、「他者」を一方的に語ることの暴力性を凝視しながら、強い警鐘を鳴らしてきた。
「拉致問題以降の日本のメディアは、まるで『鬼の首を取った』かのようなエキセントリックな報道ばかり垂れ流し、根源的にできごとを見ようとしない」。岡さんは9.17以降のメディア状況について、パレスチナといえば「自爆テロ」とも重なる、朝鮮といえば「拉致」という短絡的な形容の仕方ばかりが目立つと語る。
「米国で起きた9.11については『米国の歴史ではない、人間の歴史に長く記憶される悲劇』と書いたメディア。だが、パレスチナ問題には『あまりにも遠いできごと』としてほとんど無関心を装う。2000年9月以来、自治区というゲットーに閉じ込められ、砲撃され、殺戮されつづけるパレスチナ人の死は『人間の歴史の悲劇』として扱われない」
アジアの東と西に位置するパレスチナと朝鮮。日本はまさに「東アジアにおけるイスラエル」だとの認識を示しながら、岡さんは「米国の存在によって日本とイスラエルはその植民地主義的暴力の行使に対する責任を自らに問うことを免れ続けてきた」と喝破する。
「『暴力の連鎖』とよくいわれるが、決して同じ暴力ではなく、パレスチナ人が自爆すると『テロ』と呼ばれ、イスラエルがしてきたことは国家テロと呼ばれない。
『暴力の連鎖』とひとくくりにして語られることで、そこに生きる人々の『絶望』やその背景が隠され、テロを口実にしたイスラエルの過剰攻撃を支えている」
記憶の埒外に置かれ、不条理に殺され続けるパレスチナ難民たちの死。そして、植民地支配の清算も果たされぬまま死を迎えている日本軍の性奴隷を強いられたハルモニたち、強制労働の被害者たち…。今なお人間としての正当な権利を蹂躙された人たちが、人間の尊厳と正義の回復を求めて闘い続けている。 「朝鮮についても植民地主義の歴史そのものに日本は国民自らが全く向き合って来なかった。アジア・太平洋戦争では米国に負けたという意識にとどまり、『朝鮮や中国で何をしたか』という歴史の根源について、自分の頭で判断してこなかった」
湾岸戦争、あるいはアフガニスタンへの爆撃、イラク戦争のたびに日本で繰り返される反戦の声、デモ。「戦争反対をいいながら、殺されていっている一人ひとりの人間の生活への無関心が、実は戦争を支えており、この無関心さが日本の有事法制やイラクへの自衛隊派遣を実現させた」。
岡さんは拉致の洪水報道の最中に、在日朝鮮人の一部の人々が日本人に「謝罪」する様子が「美談」のごとく扱われたことに強い違和感を持つと語る。
「多くの日本人は国内に人権侵害や抑圧によって苦しむ在日の人たちがいることも知らず、彼らに関わったこともない。彼らの祖国分断の苦痛や悲しみにも無関心である。にも関わらず、一方的に在日に拉致の責任を迫るのは、全く倒錯した論理」と厳しく批判する。この倒錯した論理こそ、パレスチナの悲劇を「遠いできごと」として見る日本人の心象風景に通底するものだと岡さんは語った。
昨年末には、京都朝高の公開授業を始めて参観し、深い感銘を受けたと目を輝かす。「校長先生ご自身が2世だと語っておられた。学生たちは3、4世だと思う。そんな子どもたちが母語ではない母国語を習得して、国家と言語を相対化するのはすばらしい。言語学でも専攻しない限り、普通では無理なこと。それこそ文科省が言っている『国際化教育』のモデルではないか。それを助成金も出さず、国立大学の受験資格も認めようとせず、嫌がらせを続けるのはもはや許されない」。
この日、披露された中級部の女生徒の民族舞踊を観た時に、パレスチナ難民キャンプで観た子どもたちの民族舞踊の情景がこだまのように響いたと言う。 過酷な抑圧社会の中で自らのアイデンティティーを守るため、人々が強く結束してきた共通の歴史に敬意を示しながら、その過酷な生を生き抜く原動力となった「言葉」、「文化」、「伝統」を学ぶことの「とてつもない大切さ」を繰り返し語った。(京都大学助教授、岡真理さん)(朴日粉記者)

“「言葉」、「文化」、「伝統」を学ぶことの「とてつもない大切さ」を繰り返し語った” まったくその通り そう言ってる岡さんしっかり学びなさい 頭、悪いんじゃないの!!







 
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