平成16年/08/13

「ジェンダーフリー」教育現場から全廃 東京都、男女混合名簿も禁止

男女の性差までも否定する過激な男女平等教育の背景になっているとして、東京都教育委員会は十二日、「ジェンダーフリー」という用語を教育現場から排除することを決めた。学校での「ジェンダーフリー思想に基づいた男女混合名簿」の作成も、禁止する方針。月内にも各都立学校に通知し、二学期からの実施を目指す。このような決定は全国で初めてで、今後、各方面に大きな影響を与えそうだ。
「ジェンダーフリー」は、その意味や定義がさまざまで、単純な生物上の区別や「男らしさ」「女らしさ」といった観念まで否定する極端な解釈もされている状況。

これに対し、都教委は「意味や内容が使用する人によってさまざまで、誤解や混乱が生じている」として、「都教委が目指す男女平等教育とは異なっており、今後は『ジェンダーフリー』という用語は使用しない」ことを決めた。
通知によって、ジェンダーフリーの記述がある教科書を使う際には、社会の多様な考え方のひとつとして教育するよう配慮することになるという。
学校の行政文書などからも、言葉が消える。また、都内の学校では一部の教職員や市民グループらがジェンダーフリー思想に基
づき、「男子が先で女子が後は男女差別」などとして、男女を一緒にして五十音順に並べる「男女混合名簿」の導入を推進している。
男女混合名簿については、都は平成十四年、「全校での実施を推進する」などと定めたが、都教委は「男女の性差を否定するような思想に基づき男女混合名簿を作成しようとする動きが見られる」として、作成を禁止する方向で検討している。
ジェンダーフリーをめぐっては全国各地で混乱があり、一部では「ひな祭りや端午の節句は男女差別につながる」「服の色で男女を分けるのはおかしい」などの教育が行われているという。

【ジェンダーフリー】社会的に形成された性別「ジェンダー」からの解放を目指すという考え。「男女共同参画社会の実現」から「画一的に男女の違いを無くし、人間の中性化を目指す」までさまざまな意味で語られている。男女混合名簿導入にも影響を与えており、東京都内では今年4月現在、小学校81%、中学校42%、全日制高校83%で、男女混合名簿が導入されている。

平成16年/03/14

ジェンダーフリー 是正の動きを加速したい

男らしさ、女らしさを認めないジェンダーフリー(性差否定)教育に、一部の地域で歯止めがかかりつつある。こうした是正の動きが全国に広がることを期待したい。

山口県教育委員会は今月、「ジェンダーフリー」という文言を学校で使わない方針を示し、県内の全小中学校と高校に通知した。同県では、教員に配布した男女平等教育の手引で「ジェンダー」を「男らしさ、女らしさなど社会的・文化的につくられた性別」と定義し、「ジェンダーフリー社会の大切さを認識させる」としていたが、この内容も改めるという。
青森県でも、「ジェンダーフリー」という言葉の使用を中止し、同県男女共同参画センターが発行する冊子名を「じぇんだーふりー あおもり」から「クローバーあおもり」に変える。同県は「一部で、男女の区別を排除する意味で(ジェンダーフリーが)使われており、誤解を招かないよう改称することにした」と説明している。
「ジェンダーフリー」は、男女の差別をなくすために、男女の区別までなくそうという極端なフェミニズムに近い。男女平等や男女共同参画の理念とは全く無縁の和製英語である。両県がこのことに気づき、改めようとする姿勢を評価したい。
茨城県つくば市では「ジェンダー」を「支配被支配の関係から生じる性差別」とマルクス主義的にとらえ、それからの解放を目指すとする過激な男女共同参画条例案が用意された。市内の主婦らが是正運動を起こし、「ジェンダー」という言葉は削除されたが、内容があまり変わらず、継続審議になった。同じような是正の動きは、秋田、千葉、福岡県などでも見られる。
ジェンダーフリーの思想は、男の子を端午の節句で祝い、女の子を桃の節句で祝うという日本の伝統行事まで否定しようとする。
男女共同参画問題担当相の福田康夫官房長官は先月の衆院内閣委員会で、「ジェンダーフリー」という言葉を使わないよう自治体を指導する考えを改めて示した。
しかし、全国の男女共同参画条例や教育委員会の教材には、この政府方針に反し、ジェンダーフリーを推進しようとする不適切な文言も少なくない。条例や教材の総点検が必要である。



平成15年/06/28

「男女混合はマルクス思想」と男女別に 新潟の小学校

新潟県白根市立茨曽根(いばらそね)小学校(児童113人)が男女混合だった児童の出席簿を今年4月から、男女別に改めていたことが分かった。同校の長谷川清長校長(59)は「男女混合名簿などはマルクス主義フェミニズムに基づいており、思想教育につながる」と説明している。
長谷川校長は3月、児童の家庭に配った「校長室だより」で理由を説明している。高崎経済大の八木秀次助教授(憲法学)らが著書で、混合名簿の背景には、固定した男女の役割分担を否定する「ジェンダーフリー思想」があり、「その根底は『マルクス主義フェミニズム』」と書いていることを紹介。「マルクス主義は共産主義社会の根本思想」と説明した。
そのうえで、ジェンダーフリー社会は▽夫婦別姓▽夫を主人と呼ばない▽男女の違いがある「ひな祭りや鯉(こい)のぼり」は不要――などを目指す社会で「このような社会をつくるための一歩が『隠れたカリキュラム』として学校現場に入り込んできている」と指摘。「私はジェンダーフリー論者に加担することはできない」と書いてある。

同校によると、保護者から反対意見はなかった。出席簿はすべての元になる名簿のため、げた箱やロッカーなどがすべて男女別になった。児童は現在、男子54人、女子59人。男女混合名簿は99年4月から採用されており、長谷川校長は昨年4月、同校に着任した。
長谷川校長は「男女差別は許されない。といって性差を否定するジェンダーフリーは受け入れられない。マルクス主義フェミニズムに基づいており、一つの思想を学校で教えるのはよくない」と語る。
八木助教授は「校長の対応を評価したい。肉体的に違いがある男女の特性を生かすのが本来の教育だ。混合名簿を認めれば今後、男女に一緒の制服を着させるなど、さらにエスカレートする危険もある」と話している。
県教委によると、どんな名簿にするかは校長の裁量範囲内。県内では02年度で小学校の約93%、中学校の約50%が男女混合名簿を使っている。県教委義務教育課の渡辺伸栄課長は「良い悪いを判断する立場にない。真の男女平等教育がなされることを期待する」と話した。【柴田真理子】

ちょっと行き過ぎ 評論家・樋口恵子さんの話

ちょっと行き過ぎだと思う。名簿を性別に改めることで、どうして真の男女平等教育が進むのか。学校現場で性別による分け隔てをしない教育が行われるのは人権尊重の観点からであって、マルクス主義フェミニズムとは何の関係もない。この校長も教育委員会もきちんとした見解を示して、説明責任を果たすべきだ。

良識に従って行動を 教育評論家・尾木直樹さんの話

混合名簿がマルクス主義フェミニズムに基づくとする考えは決して多数意見ではない。この校長が個人的に共感するのは自由だが、社会の常識や良識に従って行動するのが公立の学校長の責務だ。自分の学校だからといって、ストレートに実践するのは考えものだと思う。こうしたやり方が名簿だけでなく、ほかの分野にまで広がる恐れがないか、心配だ。

ことば・男女混合名簿

男女の区別なく、氏名を五十音順や出生日順に改めた出席簿。従来は男女別で、男子から始めていたため「男子が優先」「男子は男らしく、女子は女らしく」といった性差による意識を助長し、役割を固定化していたとされる。日教組が92年、導入を求める活動を本格化させた。日教組によると、静岡県教委が98年、全国に先駆け、県内の公立小中高校で完全導入した。文部科学省は出席簿について全国一律の指導はしておらず、都道府県教委などの判断に任されているという。

マルクス主義フェミニズムを持ち出すまでもなく病的ジェンダーフリーには歯止めが必要だ

 御参考  http://homepage1.nifty.com/1010/jender.htm




                                           

 
inserted by FC2 system