「中央日報」02/04/09

日本の高校教科書検定、右翼団体の歴史教科書が合格

来年から日本の高校で使われる歴史教科書として、右翼系団体「日本会議」が編纂した『最新日本史』など6つの教科書が検定に合格した。
日本文部科学省は9日、「出版社5社が検定を申請した6つの教科書すべてが検定に合格した」とし、「周辺国の立場を考慮するという『近隣諸国条項』など、検定基準を厳しく適用した」と明らかにした。日本国内の高校約5000校は、6冊から1冊を選択することになる。
歴史わい曲で物議をかもしてきた『最新日本史』は今回、「韓国が独島(ドクト、日本名・竹島)の領有権を主張している」とし、独島が日本の領土という主張を初めて内容に含めた。また任那日本府説を再度掲載し、関東大震災当時、日本人の韓国人虐殺や日帝の皇国臣民化政策をあいまい、または略して記述するなど、問題点を浮き彫りにした。
しかし韓日合併条約締結の強制性を認め、明成皇后(ミョンソンファンフ)殺害事件をより正確に記述するなど、改善点も見られた。
これに対して政府は、日本の歴史教科書わい曲対策班スポークスマンである秋圭昊(チュ・キュホ)外交部アジア太平洋局長名義で声明を発表し、「近隣国との歴史を正確に記述せず、正しい歴史認識が欠如した内容を含んでいることに対し懸念をおぼえる」と明らかにした。声明は「一部記述を改善した点は評価する」と付け加えた。
外交部はこれに先立ち8日、最新の日本史改訂版が、独島の領有権を主張していることと関連し、鹿取克章駐韓日本公使を召喚し、「権威ある歴史的証拠、地理的事実、国際法の原則に照らし合わせ、独島は韓国固有の領土であり、このような立場を日本政府に明白かつ確固たる方法で伝達してきたが、これを改めて強調する」と通報した。
一方、他の教科書の韓国に関連する内容は、現行本と大きな差はなかった。実教出版社は「1998年、韓日パートナーシップ共同宣言」を、清水出版社は「昨年の小泉首相の靖国神社参拝論争」の内容を付け加えた。


「軍国主義の復活か」市民団体、日本政府を糾弾

国内80余りの市民団体らで構成された日本の教科書を正す運動本部は9日午後、記者会見を開き、「今回の検定通過は、日本政府が軍国主義復活をもくろんだいい例だ」とし、日本政府を糾弾した。
運動本部は声明で「日本政府が教科書で教えるべきことは過去の歴史に対する謙虚な反省だ」とし「日本政府が『最新日本史』の修正を指示するまで、あらゆる手段を動員して圧迫する」と主張した。 運動本部は在韓日本大使館を抗議訪問し、教科書修正を求める一方、中国と日本の市民団体らと連帯し、大規模な糾弾集会を開催するほか、日本の文部科学省のインターネットホームページなどに対してサイバーデモも展開する計画だ。


政府「日本の教科書検定、修正努力の痕跡見られる」

韓国政府は、日本政府が今回、高校課程の歴史教科書の検定を行う過程で、周辺諸国を配慮する「近隣諸国条項」に基づき、韓国の立場を少なからず反映したものと受けとめている。
右派教科書である『最新日本史』の検定申請本にあった植民地恩恵論的な記述と韓日合邦の強制性を否定した部分を削除したり、正しく修正したのがその例だということ。
外交通商部(外交部)の関係者は「日本側がそれなりに努力した痕跡が見られる」と述べた。
しかし政府は、最新日本史の内容と関連し、独島(ドクト、日本名・竹島)への日本領有権を記述していることや、古代日本が韓半島の一部を支配していたという任那日本府説を堅持していることについては、懸念の意を示している。
独島問題は、従来の9つの教科書にも「韓国が独島領有権を主張している」などの記述があるが、最新日本史は一歩踏み込んで、他国(韓国)の脅威を強調している。
独島問題は、日本政府が領有権を主張しているだけに、この記述を検定過程で取り除くのは難しい側面がある。
韓国政府は、韓国が実効的に支配している独島の領有権問題が同教科書によって浮き彫りにされた場合、独島を紛争地域化しようとする日本の戦略にのまれるのではないかとしている。
政府の関係者は「今回の検定は、昨年の教科書波紋時とは差がある」とし、「教科書問題で、韓日間の未来指向的関係とワールドカップ(W杯)の共同開催による友好ムードが壊れてはならない」と述べた。


【解説】『最新日本史』、従軍慰安婦は掲載せず

歴史わい曲の記述で物議をかもしていた日本の高校課程の教科書『最新日本史』が、今回も検定を通過したことから、日本右翼勢力による歴史わい曲論争が再燃する気配を見せている。
『最新日本史』は、日本が従軍慰安婦を動員した事実は依然として取り上げず、日本が古代に韓半島南部を支配したという「任那日本府説」をこれまで通り掲載するなど、現行本の問題点をきちんと解消していない。
歴史わい曲教科書に対する反対運動を繰り広げている市民団体「子どもと教科書全国ネットワーク21」の俵義文事務局長は、「わい曲レベルは現行本と大きく変わらない」と指摘する。
しかし、明成皇后(ミョンソンファンフ)殺害について、「日本公使らが大院君(テウォングン)と企てて、閔妃(ミンビ=明成皇后)を殺害」から「日本公使らが独断で殺害」に修正するなど、いくつか改善された記述が見られる点は、前向きな評価をつけられる。
これは、文部科学省が、昨年の「新しい歴史教科書をつくる会」による中学校歴史教科書の波紋と韓日関係を考慮し、影響力を発揮したためといわれている。
当初『最新日本史』の検定修正申請本には、日本の植民地政策が該当国家に役立っているという見方が載せられるなど、現行本よりもさらにわい曲した内容が盛られていたが、文部科学省の検定過程でかなりの部分が再修正された。これを受け、「教科書検定に介入できない」としていた日本政府の主張も、名分が弱まったという分析が出ている。
『最新日本史』は今年、初めて「独島(ドクト)」を「竹島」と表記、日本領土とする認識を主張するなど、周辺諸国との領土問題を言及し、注目を集めた。
今後の問題は、どれだけ多くの高校が『最新日本史』を採択するか。『最新日本史』の低採択率(昨年0.4%)に変化があるかに関心が寄せられている。「つくる会」は右翼団体の「日本会議」とともに、『最新日本史』の採択キャンペーンを行う予定で、昨年のように賛否両論をめぐる攻防が展開されそうだ。


「朝鮮日報」02/04/09

歪曲教科書「独島は日本領土」

 歪曲された見方の日本の歴史教科書が、昨年に続いてまた日本政府の検定を通過した。
 日本の文部科学省が9日発表した2003年度用高等学校教科書の検定結果によれば、日本の国粋主義的歴史観を基に作られた明成社の「最新日本史」が、韓国と関連した部分で一部問題となっている内容を残したまま、検定を通過したことが分かった。
 問題の教科書は1986年、歴史教科書歪曲問題を巻き起こした「新編日本史」の改正版に当たる。今回の検定通過本には特に、これまで日本の歴史教科書にはなかった「独島は日本の領土であるにも関わらず、韓国が領有権を主張している」という新たな内容が追加された。
 また、従軍慰安婦関連の記述の脱落や3.1運動の流血の弾圧に対する曖昧な記述、関東大震災当時の朝鮮人虐殺に対する曖昧な記述、日帝(日本帝国主義による植民支配)時代の弾圧に対する叙述の不足、任那日本府が存在したという見方の堅持などの問題点が指摘されている。
 韓国政府は今回の検定通過と関連し、政府内に設置された「日本の歴史教科書歪曲対策班」のスポークスマン名義の声明を発表し、「近隣国との歴史を正確に記述せず、正しい歴史認識が欠如した内容を盛り込んでいる」と憂慮を表明した。
 問題の歴史教科書は昨年末現在、全国の高等学校のうち0.38%が使用している。今回の検定通過本は展示・広報活動を行った後、今年8月に各学校別の採択作業を経て、来年から学校の現場で使用されることになる。


【歪曲教科書】政府、独島記述を抗議

 韓国政府は9日、日本政府の検定を通過した一部の高校生向けの歴史教科書が「独(トク)島は日本の領土であるにもかかわらず、韓国が領有権を主張している」と記述した件に関連し、鹿取駐韓公使を呼んで強く抗議したと、外交通商部が明らかにした。
 政府は日本側に「権威ある歴史的な証拠と地理的な事実、国際法などの諸原則に照らすと、独島は韓国の領土であり、このような立場はこれまで折に触れて日本政府に明白かつ確固たる方法で明らかにしてきたことを再度強調する」との立場を伝えた。
 また、「日本歴史教科書歪曲対策班」の政府側スポークスマン、秋圭昊(チュ・ギュホ)外交通商部アジア太平洋局長は同日、6種の高校生向け歴史教科書の検定結果に関連した声明を発表し、「一部の高校生向け歴史教科書が近隣国との歴史を正確に記述せず、正しい歴史認識が欠けている内容が盛り込まれており懸念される」と言明した。秋局長は「今回検定を通過した歴史教科書が全般的には現行の記述を維持していたが、一部の記述を改善した点を高く評価する」と述べた。


教科書運動本部「教科書の歪曲、座視できない」

 日本の教科書を正す運動本部(共同代表:徐仲錫(ソ・ジュンソク))は9日、記者会見を開き、日本政府に対し、歪曲した歴史意識が書かれている高校の歴史教科書「最新日本史」の検定通過を撤回するよう求めた。
 教科書運動本部は新しい歴史教科書が日本帝国主義の美化、賞賛、植民地支配を正当化した植民地主義史観強要、経済力をもとにした日本の軍事大国化志向、独島を日本の領土として記述した点などが問題となっていると主張した。
 この教科書は86年、歴史歪曲波紋を広げた「新編日本史」の改訂版。日本の明成社が昨年8月に文部省に検定を申請したもので、この日検定に通過した。
 教科書運動本部は声明書を通じて、「過去の植民地支配を美化し、軍国主義と皇国史観の復活を図る日本の歴史教科書の歪曲を決して座視することはできない」とし、「関連学者の教科書分析作業を経て、日本政府に再修正を要求する一方、日本大使館への抗議訪問と日本政府糾弾デモも展開する」とした。


参照・・・竹島↓
http://www.pref.shimane.jp/section/takesima/top.html

                                                    
 
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