日本もテロの標的 国際捜査の権威ブリュギエール仏予審判事

アジア金融センター攻撃計画 改宗組に注目

国際テロ捜査の最高権威といわれるフランスの予審判事、ジャンルイ・ブリュギエール氏が
単独インタビューに応じ、今や世界のどの地域もテロの危険にさらされていると指摘、
今後とくに日本などアジア地域がテロの標的になる可能性を示唆した。同氏は「日本の警察とは
(テロ捜査の)実務で協力し合っている」と述べ、一昨年十二月ドイツで逮捕され、フランスで拘留中の
アルカーイダ傘下組織幹部、リオネル・デュモン容疑者(34)関連の捜査のため、年内にも訪日する意向だ。
                  
ブリュギエール氏は、捜査中の事件に関して言及することはできないとの前提で語った。
「昨春のマドリード列車同時爆破テロに次ぐ今年七月のロンドン同時テロにより、一層危険を感じている」として、
まず欧州でのさらなるテロへの懸念を表明。そのうえで「現在掌握しているテロ組織(の動向)を
世界的見地に立って考察した結果、(テロの)危険から無傷でいられる地域はない」と断言し、
中でも日本、オーストラリア、シンガポールなどアジア・太平洋地域でのアルカーイダによるテロ攻撃の可能性を強く示唆した。

同氏は、アジア標的説に関し、英紙フィナンシャル・タイムズにも「投資家の地域に対する信頼を落とすため、
東京やシドニー、またはシンガポールといったアジア・太平洋地域の金融センター攻撃を計画している」と述べている。
今回のインタビューで同氏はまた、マドリードやロンドンなどのテロ捜査の過程で得た分析として、
国際テロを(1)アルカーイダ指導者のウサマ・ビンラーディン容疑者のアフガニスタンにおけるテロ訓練キャンプの
参加者など同組織の直系(2)(ロシアからの独立闘争を続ける)チェチェンなどを含むかなり組織化された
地域グループ(3)欧州を基盤にしたイスラム原理主義過激派−の三つのグループに大別した。
そのうえで、テロリストの若年化傾向が目立つのは(3)のグループが増えているから、との認識を示し
(1)や(2)のグループが各地域の不満分子をイスラム過激派に「改宗」させるケースが目立つと分析した。

フランス国内での銀行襲撃や警察爆破未遂などで逮捕されたアルジェリア系フランス人のデュモン容疑者も、
もともとはカトリック教徒の家庭に生まれた「改宗組」だ。
こうした現状に関し、ブリュギエール氏は「重要なのは現象についての包括的ビジョンを持つことだ。
テロリストの実態は、ますます複雑化、細分化している」と述べ、日本を含む世界中の至るところで
「改宗組テロリスト」が誕生する可能性に言及した。

仏捜査当局筋によると、デュモン容疑者は、二〇〇二年のサッカーW杯日韓大会期間中に日本に潜入、
新潟の中古車販売会社に勤めながらテロ・ネットワーク拡大の工作活動をしていたとみられる。
ブリュギエール氏は同容疑者をはじめ▽日本人を妻とし、デュモン容疑者の日本潜伏に関連して
昨秋パリ郊外で逮捕、拘留中の容疑者▽昨年五月にオーストラリアのイスラエル大使館爆破テロ未遂で逮捕、
オーストラリアで拘置中のジャック・ローシュ被告−などアジア・太平洋地域の多くのテロ事件捜査にも関与している。



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