平成17年/07/21

米国防総省年次報告 中国軍事費、公表の3倍10兆円 無視できぬ拡張

 米国防総省は十九日、中国の軍事力に関する年次報告書を発表。
この中で、中国軍の近代化が周辺地域の軍事バランスを危険にさらし始めて
いると警告するとともに、軍拡がこのまま進めば、長期的には確実に中国は地域の脅
威になるとの見通しを示した。
また、中国の実際の軍事費は公表額を大幅に上回っており、
二〇〇五年に最大九百億ドル(約十兆円)に達しているとした。
 報告書によると、中国軍は台湾の対岸に六百五十−七百三十基の短距離ミサイルを配備。
配備は年百基の割合で進んでおり、射程が延び、精度も向上しているという。
このため、報告書は台湾海峡をはさむ中台軍事バランスが中国寄りに傾きつつあると分析している。
 
さらに、五十五隻の攻撃型潜水艦や二隻のロシア製ソブレメンヌイ級駆逐艦を配備
していることなどを列挙、「新兵器システムの導入によって著しく改良した」とし、
中国が制空権、制海権の確保に力を入れていることに対し警戒感を示した。
 一方、急激な経済成長に伴いエネルギーの海外依存を強めていることが、
中国の戦略に影響を与えていると指摘。エネルギー確保への懸念がロシアや中央アジア、
スーダンやアンゴラ、ベネズエラとの関係を深める要因になっていると分析している。
 また、軍事費について、中国政府が三月に公表した約三百億ドル(約三兆三千六百億円)には、
ロシアなどからの兵器購入や軍事関連技術の研究費などが含まれていないと指摘。
実際には公表額の二−三倍で二〇〇五年は最大で九百億ドルと、
米国、ロシアに次ぐ世界第三位であるとしている。
 このため、フランスなど欧州連合(EU)が行っている対中武器輸出禁止措置は
このまま継続すべきだとしている。
 
また報告書は、中国の将来について経済発展、景気下降、騒乱、
領土紛争などの可能性を想定。
 資源をめぐる紛争の発生や、中国指導部が武力行使に訴える可能性にも言及し、
中国が「戦略的分岐点」にさしかかっているとの見方を示した。








 
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