靖国合祀訴訟 国の戦没者通知、適正 韓国人遺族の請求棄却 東京地裁
国が戦没者名を靖国神社に通知したため、意思に反して同神社に合祀(ごうし)され、
民族の誇りを傷つけられたなどとして、韓国人の旧日本軍人・軍属の遺族ら約四百人が、
国に対し通知の撤回による合祀のとりやめや損害賠償などを求めた訴訟の判決が二十五日、
東京地裁であった。中西茂裁判長は「合祀は靖国神社が決定して実施しており、
国は単に戦没者の氏名を回答しただけ」とし、原告側の訴えを棄却した。
原告側は「国は靖国神社に戦没者の氏名を通知しており、合祀は国と靖国神社が一体で行ってきた」と主張。
靖国神社を被告にせず、国だけを訴えていた。
中西裁判長は「国による戦没者通知は一般的な行政の調査、回答事務の範囲内の行為で、
原告に具体的な不利益を与えるものではない」と判断した。
靖国神社によると、同神社に祭られている朝鮮半島出身者は約二万一千人。同神社は「合祀の
とりやめを求める遺族がいることは認識しているが信仰上、あり得ない」としている。 また、原告の一部は、徴兵・徴用中やシベリア抑留中の労働の賃金支払いも請求していた。 中西裁判長は「昭和四十年締結の日韓協定によって請求権がなくなっている」として、訴えを退けた。
厚生労働省社会・援護局の小林恒雄業務課長の話 「現時点では判決内容を十分把握していないが、
国側のこれまでの主張が認められたと考えている」
韓国人遺族らの靖国合祀取りやめ請求、東京地裁が棄却
第2次世界大戦中、旧日本軍の軍人や軍属として戦死した韓国人が靖国神社に祭られているのは、
遺族の意向を無視した行為で憲法に違反するなどとして、韓国人の遺族ら計414人が国などを相手取り、
合祀(ごうし)の取りやめと、慰謝料など計約44億円を求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であった。
中西茂裁判長は、「合祀の判断や決定は靖国神社が行っていたもの。国と神社が一体となって戦没者を
合祀したとは言えない」と述べ、原告の請求を棄却した。
靖国神社への戦没者合祀について、司法判断が示されたのは初めて。
また、原告側は遺骨の返還や死亡状況の説明がなされなかったことなどに対する賠償も求めたが、判決は、
1965年に締結された日韓請求権協定などにより「請求権は消滅している」と判断した。
平成18年5月25日
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