中国が「人民元」切り上げへ 日本経済への影響は


中国が、人民元相場の切り上げ再開を視野に入れた談話を発表したのは、26日から開かれる
主要20か国・地域(G20)サミット(首脳会議)で人民元問題が主要議題になる可能性が高まる中、
改革姿勢を示すことで批判を未然に封じ込める狙いがある。
ただ、輸出産業への配慮などの中国国内の事情もあり、時間をかけた小幅な切り上げに
とどまる可能性が高い。

米国は今年4月、為替政策報告書の提出の延期を発表し、中国の自主的な人民元改革を促したが、
中国は具体的な対応を示していない。このため、米上院では一部の有力議員が対中報復法案の
準備を進めているほか、オバマ米大統領も人民元の切り上げの必要性を訴えた書簡を
G20参加国首脳へ送るなど、巨額の対中貿易赤字を抱える米国内で不満が再び高まっていた。

また、G20サミットの議長国であるカナダの政府高官が18日、人民元が主要議題になる見通しを示し、
G20を前に“中国包囲網”が急速に広がりつつある。中国政府は危機感を強めており、
「外圧に屈した」との印象を持たれないためにも、先手を打った格好だ。

ガイトナー米財務長官は19日、「中国の決断を歓迎する。
力強く均衡の取れた世界経済の成長に好ましい貢献となるだろう」との談話を発表した。
国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事も、「非常に歓迎される進展だ」との認識を示した。
一方、中国の通貨当局は、人民元相場維持のため、ドル買い・人民元売りの介入を続けており、
介入で放出された人民元が市場にだぶつき、不動産バブルやインフレ懸念などの副作用も顕著になっている。
問題が深刻化する前に、緩やかな切り上げによる軟着陸を図る意味もあると見られる。

ただ、談話は「国際収支は均衡の方向へ向かっており、人民元相場が
大きく変化する基礎は存在しない」としており、大きな切り上げとなる可能性は低い。
切り上げに際しても、中国の経済成長を引っ張ってきた輸出産業に対し
「配慮しなくてはいけない」(中国政府系アナリスト)という事情もある。

中国紙「経済参考報」によると、業界の調査では、短期間に人民元が3%上昇した場合、
自動車や家電、携帯電話などのメーカーの利益が3〜5割減少するとの予想もあり、
農村出身の工場労働者の大量失業など、深刻な国内不安を抱えかねないからだ。
このため、中国がどこまで切り上げに踏み込むかが大きな焦点となりそうだ。


@日本もその昔、360円でしたからやっとそんなレベルまで来たんでしょうか。





平成22年6月21日





 
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