嘘か真か? 元山市民の9割が『しおかぜ』聴いている」 脱北者証言



しおかぜを放送している八俣送信所


北朝鮮の貨客船「万景峰92」の母港である主要都市、元山(ウォンサン)市の9割の市民が日本製ラジオを持ち、
日本の特定失踪者問題調査会が発信している北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」を聴いて拉致や核問題の情報を
ほぼ自由に入手していることが2日、脱北者の証言で明らかになった。
北朝鮮当局は再三、しおかぜに妨害電波を発してきたが、北の市民がその内容を聴取していることが確認されたのは初めて。
情報統制の緩みが浮き彫りになっている。

 証言したのは最近脱北した元山市民。

 北朝鮮は平成18年7月のテポドン2号を含むミサイル7発の連続発射や、同10月の核実験などの
事実を国民向けには一切、報じなかった。
その一方で、朝鮮中央放送のテレビ、ラジオや新聞などの官製メディアを総動員し、日本が発動した経済制裁について
「一方的な敵対行動であり、断固として対抗措置をとる」などと激しく非難し、国民の対日敵対感情を煽る宣伝を繰り返していた。

 だが、元山港が万景峰号の母港ということもあり、市内のほとんどの家庭は日本などから持ち込まれた
旧式のテープレコーダー付きラジオを所有。
同市の人口は現在、24〜30万人とみられるが、「およそ90%の市民がしおかぜなどの西側放送を聴き、
国内外の情報を得ている」という。

 北朝鮮当局はかつて、一般市民の持つテレビやラジオのチャンネルをハンダ付けするなどして、
受信周波数を朝鮮中央放送などの官製メディアに固定させ、都合の悪い情報から遮断してきた。
この脱北者は「官製放送は日本の経済制裁を一方的に非難していたが、『しおかぜ』を聴いているほとんどの市民は、
制裁が北朝鮮のミサイル発射や核実験など、相応の理由があることを理解していた」と証言した。

 情報統制が緩んでいる現状については、「あまりに多くの市民が日本製ラジオを持っているため、
当局者は『チャンネルを固定するように』と口頭で注意するだけで、処罰はされない」としている。

 一方、国民の思想教育を担当する朝鮮労働党宣伝部は近年、国民向けの教育宣伝で拉致問題にも言及し始めている。
「拉致問題の解決は、従軍慰安婦問題を解決してからのことだ」などとの主張を展開。宣伝部が、
国民に知らせることを避けてきた拉致問題をあえて取り上げた背景には、都市部を中心に多くの市民がラジオなどから
拉致問題について知るようになり、情報を隠す意味がなくなってきたことがあるとみられる。

 ■しおかぜ 北朝鮮による拉致問題を調べている「特定失踪者問題調査会」が平成17年10月から発信している短波放送。
北朝鮮国民に拉致問題に関する詳細な内容や情報提供を呼びかけ、拉致被害者に対しては朝鮮語や
日本語で家族の近況や安否情報などを伝えている。


● しおかぜ 7/16より
○放送時間:毎日 5:30〜6:00 
○周波数 :6045KHz
○放送言語:日本語、朝鮮語、中国語、英語


●しおかぜ 7/15より
○放送時間:毎日 23:00〜23:30 
○周波数 :6015KHz
○放送言語:日本語、朝鮮語、中国語、英語

※周波数・放送時間は予告なく変更される場合があります。


平成20年8月3日















 
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