党首討論概要 新テロ特措法

9日開かれた福田康夫と民主党の小沢一郎の初めての党首討論では、自衛隊の海外派遣と新テロ対策特別措置法案について論議がなされた。

小沢:政府は臨時国会、2度延長されて、年越しの国会になっているのだが、米軍艦船への補給が問題になっているからだ。

 自衛隊を海外へ派遣するということが、基本的な国の原則に基づいてなされなければならない。特に過去の歴史、現在の憲法を考えたときには、その時々の状況で行われてはならない。結局国を誤る。どういう原則、基準を持って、派遣されているのか。

福田:自衛隊の海外における活動は極めて慎重に行ってきた。湾岸戦争では、小沢代表も自民党幹事長としてご苦労された。海外のことはできれば協力したい、特にエネルギーで大事な中東ならそう考えるのは当然。

 ただ無原則ではいけない。今回の給油についてはテロ特措法という法律に基づいて行っている。武力行使に当たらない国際平和協力活動であるということで行っている。あくまでもテロを抑制しようという艦隊に対して、給油、補給するということでやってきた。あくまで国際平和協力活動であって、憲法を持ち出すまでもないものだと思う。

 新法についても同じような考え方で、参議院でもぜひ結論を出して頂きたい。

小沢:憲法を持ち出すまでもないというのは重大な発言。国際平和、国際貢献のためだと政府が判断すれば、どういう場合でも自衛隊を海外に派遣できるということですか。

福田:憲法9条に抵触しないというのは長年の議論。小沢代表も幹事長時代に取り下げたと聞いている。国際社会に貢献しようというならば、参加できる。

小沢:日本国憲法には9条がある。戦後日本の場合、第9条の解釈が問題ない、として議論があった。そこのところを政府が「抵触しない」と言えば、海外派遣してもいいということに今のお話では聞こえますが、どういう風に9条を解釈すると海外派遣してもいいのかという基準をたずねたい。

福田:テロ特措法は2001年に成立した。いまの法律(新法)も基本的には同じ。当時からご説明している。当時その考え方には民主党にも賛同していただいた。過去の記録を調べて頂いて、安心していただきたい。

小沢:憲法に反する法律はありえない。ですから、憲法の基本原則をどう解釈するかが大きな問題なんですね。ですから福田内閣はどう考えて、どういう基準で憲法解釈をどうして、こういう行動をしているのか。例えばアフガンの協力に対して、オーストラリアもカナダもアメリカとの集団的自衛権の行使ということで参加しているわけです。では日本政府もそういう考え方に立っているのかどうか。そういうことを明確にしないままに自衛隊の海外派遣をすべきではないと思います。

 武力の行使というこの言葉の意味も、今やっていることは直接的な戦闘行為ではないですが、兵隊さんだってご飯食べなきゃできない、水飲まなければできない、いろんな武器も車両も飛行機も、油がなければ動かない。まさに米軍を中心とした作戦の兵たんの一部を担っている。兵たんというのは戦争そのものなんですよ。現に事実上ドンパチやってないからいいんじゃないかとか、アメリカから頼まれたからいいじゃないかとか、分かりやすい言葉で言っているだけで、日米同盟だからとか国際貢献だからという、単にそういう理由では、その時々の政府の判断でできるということになっちゃう。やはり福田内閣として憲法解釈を、きちんと国民に明確に、世界に明確にして、自衛隊派遣。軍を動かすというのは政治の最終の手段なんですから、その時々のいい加減なあれ(基準)でやるべきではない。

福田:テロ特措法でインド洋に行く日本の艦船が、国際社会に対する貢献だと私は思っています。例えば、米軍に対する補給、艦船は港まで油を取りに行くことで2、3日余計に時間を取る状況にある。早く来てくれと言う要請があるとも聞いている。特定の国のためにやっている活動ではない。(米軍の活動によって)不審船というようなものが減っているという現状もある。私どもは意義のある活動だと考えていることを再度申し上げたい。特に今回、民主党が提案された対案、この中身については私も拝見しましたが、大変意欲的だと思っている。そこも含めて議論していきたい。






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