「朝鮮日報」06/09/14

「つくる会教科書採択に介入」 安倍氏らを賠償提訴  

 安倍晋三官房長官が歴史教科書の採択問題で計193人から提訴された。
 共同通信は「『新しい歴史教科書をつくる会』主導の扶桑社版教科書が不当な政治介入によって採択され、
精神的苦痛を受けたとして東京都杉並区や栃木、愛媛両県、韓国などに住む計193人が14日、
自民党と安倍晋三官房長官に損害賠償と謝罪広告を求め東京地裁に提訴した」と14日報じた。
 安倍長官は当時、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の事務局長を務め、扶桑社版教科書の採択を支持してきた。

 
【参考】「えひめ教科書裁判を支える会」の提訴に際しての「声明」

教育基本法への違反行為をし続けてきた安倍晋三と自民党を提訴するに当たって教基法を踏みにじり続ける安倍晋三と自民党
 
戦後の民主主義の根幹にあるのは、言うまでもなく憲法と、それに基づく教育基本法である。
 私たちがこのたび、被告として提訴した、元自民党幹事長安倍晋三及び自民党は、これらの法を守るどころか、
犯し続けた果てに、自らの違法行為を「合法」化すべく、遂に、これらの法そのものを、いま、まさに、改悪し、
つくり変えようとしている。
 その教育基本法の根幹である第10条は、「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対して直接に責任をもって
行われるべきものである」と定めている。
 これは戦前、戦中の教育(体制)に対する、以下のような反省に基き、定められたものである。
 「教育行政が教育内容の面にまで立ち入った干渉をなすことを可能にし、遂には時代の政治力に服して、極端な国家主義的
叉は軍国主義的イデオロギーによる教育・思想・学問の統制さえ容易に行われるに至らしめた制度であった。」
(文部省教育法令研究会著『教育基本法の解説』。これは、教育基本法立案の任にあたった当事者達が、
教育基本法の立法者意思を明らかにした解説書である。)
 
ゆえに、10条の意味するところは、「まず第一に、教育は国民のものである。(略)。責任(・・)を(・)負う(・・)というのは、
先に述べたように、教育が国民から信託されたものであり、教育は国民全体の意志に基づいて行われなければならない
のであって、それに反する教育は排斥されなければならないということである。」(同上)
 つまり教基法10条は、行政権力や官僚、政党、政治家等が、教育内容に介入することを固く禁止するとともに、
教育における主権者が国民であることを、はっきりと宣言したものである。

行政権力は教育内容に介入してはならない! ―教育基本法第10条―
 

ご存知のように、ここ愛媛県では、行政権力たる知事、加戸守行が教育内容そのものである教科書の採択に介入した行為が
、いま法廷において問われている。
 当然ながら、この10条は、地方自治体レベルだけではなく、前記『解説』からも明らかなとおり、国のレベルの行政権力
、政治家、政党が教育の内容に介入することも禁じているものである。
それゆえ、この10条がまだ強く意識されていた戦後初期においては、文部省の設置そのものが問題視され、
しばらくして設置されたときも、「文部省はその権限行使に当たって、法律に別段の定めがある場合を除いては、
行政上及び運営上の監督を行わないものとする。」
(旧文部省設置法6条2項)
という形で、教育行政にあたる機関でさえ、教育への管理、監督、介入を厳しく禁じられたのである。
まして行政権力たる内閣や政党、政治家等が教育内容に介入することが決して許されていないのが、
戦後、教基法下での在るべき教育システムなのである。

自らの違法行為を自らの権力をもって「合法」化しようとする安倍晋三らは裁かれねばならない!
 
この教基法が存在しているにもかかわらず、被告らは、自らの権力を使って、教科書検定、教科書採択をはじめとする、
教育内容に関わることがらに介入し続け(被告安部晋三は、歴史教科書を自国に都合の良いように改ざんするために、
また、歴史歪曲、自己中ナショナリズムで貫かれた「つくる会」教科書を不法・不正に検定合格させるために、
文部科学省に圧力をかけ、教育に介入し続けている「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の事務局長であった。
そして、その後、自民党幹事長の地位を利用して、「つくる会」教科書を採択させるための<介入>を精力的に行った。
訴状「第二の2の(2)」参照。)、子ども達を、国家に従順かつ忠実に従う国民、国家の
行う戦争に無批判、無条件に協力する国民へとつくり上げようとして来た。
 これらは全て教育基本法10条に正面から違反する行為である。つまり被告らは、この教基法を犯して、
実質的に戦後の日本の教育を管理、運営して来たにもかかわらず、その結果としてある、現在の学校、教育、
子どもたちの「荒廃」の原因を、恥知らずにも本末転倒させて、この教基法そのものであるとし
、ゆえに変えなければならないと主張しているのである。
 被告安倍晋三は、首相になれば、秋の国会で教基法を変えると公言しているが、これは、まさに、自らが行い、
かつ、これからも行おうとしている違法行為を、自らの権力をもって、国会の数の暴力で「合法」化してしまおうとする企てに他ならない。
 私たちは、率先して、法を、憲法を守るべき政治家の、これほどまでに、法を軽んじ、ないがしろにする行為を、この国の
主権者として、この国に住む市民として、座視するわけにはいかない。
 よって、安倍晋三及び自民党を提訴する。

2006年9月14日
えひめ教科書裁判を支える会






 
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