平成17年/04/11

歴史の捏造に手を貸す朝日新聞
中韓両国の反日煽る教科書報道

政治評論家 屋山太郎 

 新しい歴史・公民教科書から「従軍慰安婦」という言葉がなくなり、日本の官憲による「強制連行」説も否定された。この二つの単語は戦中にはまったく存在しなかったもので、戦後に捏造(ねつぞう)されたものだ。このウソを教科書に載せるに至った政治家・官僚は深く反省すべきだ。
 一九八二年六月に、教科書の「侵略」が「進出」に書き改められたと新聞・テレビが一斉に報道した大誤報事件が起きた。このときの官房長官が宮沢喜一氏で、誤報だと知っていながら、教科書検定に当たっては「近隣諸国に配慮する」との“宮沢談話”を発表した。同年九月の鈴木善幸首相の訪中を控えて「ことを荒立てたくない」との配慮からだったようだ。
 その後、九二年に首相として宮沢氏が訪韓したさい、当時の盧泰愚大統領から従軍慰安婦についての「歴史認識」を迫られ、同年七月、加藤紘一官房長官が「慰安所の設置などで政府の関与があった」と公式に認めた。しかし軍が関与したとされる文書は業者に対して「慰安所の衛生を万全にせよ」といった類の文書で、関与とはいえない。
 さらに九三年には、河野洋平官房長官が「慰安婦を強制連行したことを認める」と謝罪した。しかし“河野談話”の元となった日本の調査資料には「強制連行」を示す文書は一片もなかった。後に石原信雄・官房副長官、平林博・外政審議室長が、慰安婦と称する韓国側証人が一方的に述べた旨を証言している。
 宮沢、加藤、河野各氏らは首相の訪中や訪韓を控えて、「とりあえず相手の言い分を聞いて、この場を収めよう」という“その場凌(しの)ぎ”の連続だった。この無責任な態度が史実を捏造して教科書に載せるという、許すべからざる事態を招いたのである。
 この腑抜(ふぬ)けた政治家たちの裏には、チャイナスクールと呼ばれる土下座しか知らない外務官僚が常に絡んでいる。二〇〇〇年には、検定調査審議会の野田英二郎委員(元インド大使)が扶桑社の教科書を不合格とするよう工作したことが発覚している。
 歴史の捏造にもっとも手を貸している反日的マスコミの代表が朝日新聞である。朝日は九一年、「挺身(ていしん)隊として強制連行された慰安婦が出てきた」と大々的に報道した。しかし彼女は「妓生(キーセン)として売られた」と自分で語っているのである。強制連行の被害者ではなく、当時はまだ残っていた貧困による人身売買の被害者だった。
 この記事を書いた記者は、「挺身隊」と「慰安婦」の区別も「売られる」のと「強制連行」の違いも分かっていない。しかも彼の妻は慰安婦補償裁判を起している韓国遺族会の幹部の娘である。裁判を有利に進めようという作為があったとしか思えない。
 朝日新聞は今回、扶桑社の歴史・公民教科書を取り上げて、「こんな教科書でいいのか」とあげつらった。前回は「やはり、ふさわしくない」と断定した。
 確かにこの教科書は朝日的・反日的な教科書とは若干趣(おもむき)が違う。歴史の暗部のみを取り上げて、自虐的歴史観を植え付ける類ではない。明るい部分にも光を当て、青少年に日本人としての誇りを持たせようとの大多数の国民の願いに応えたものだ。中韓両国と「情」によって外交をすることや無駄金を出すことはこの際きっぱりと止めるべきだ。
 日韓間では六五年に日韓基本条約が結ばれ、あらゆる請求権にはケリがついている。韓国人で不満のある人は韓国政府に請求すべきものだ。
 竹島問題については、国際司法裁判所で裁定してもらうことを日本側が提案したが、韓国側が拒否した。多分、負けることを想定したのだろう。不法占拠を続けているが、交換公文では、「第三者を交えた調停によって解決を図る」と合意している。
文書さえ守らないような国を相手にする要諦は「一切情をかけない」ことが不可欠だ。
 日中間の戦後処理は七二年の共同声明、七八年の平和友好条約によって、中国側の「賠償請求の放棄」がうたわれている。しかし、日本側は賠償金の代りとして政府開発援助(ODA)をこれまでに三兆円も拠出している。
 韓国の盧武鉉大統領が激しく反日感情を煽(あお)っているのは内政上の不人気を挽回しようとしているに過ぎない。
 中国首脳部が靖国参拝問題で反日感情を煽っているのも、経済上の大失政を日本に転嫁しようとの意図がうかがえる。朝日新聞はこの両国に対して、日本が終りなき土下座を続けろと言いたいのだろうか。




 
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