「朝鮮日報」05/03/12社説

大韓民国の尊厳を日本の挑発から守れ

 日本の右翼団体「新しい歴史教科書をつくる会」が支援する出版社・扶桑社の中学
歴史教科書2005年改訂版が「朝鮮の近代化を援助した日本」という別途の章を新設
し、日帝の植民地支配を露骨に美化する内容を盛り込んでいることが分かった。
 改訂版教科書はまた、現行版の「日帝の植民支配によって朝鮮人民が苦痛を強いら
れた」という内容は削除する一方、日帝の創氏改名が当時、朝鮮人の希望によって行
われたかのように歪曲した内容を新たに載せた。
 同出版社が発行する公民(社会)教科書は、独島(トクド)の全景写真を挿入し韓
国と日本が領有権をめぐって対立していると説明する内容を新たに盛り込んだ。つく
る会は、扶桑社教科書の占有率を現行の01年版の0.039%から05年版までに10%に引
き上げると明言している。
 ここ数年間、日本は明らかに異常な方向に進んでいる。特に韓国関連では異常兆候
がさらに深刻になっている。島根県議会は独島が自らの領土に編入された1905年から
100周年を迎え、「独島の日」条例制定を強行した。
 高野駐韓日本大使は、ソウルの真ん中で開かれた外国メディアとの会見で、「竹島
(独島)は日本領土」と言い切った。そして今回の教科書歪曲に至るまで、日本の動
きは露骨で、計算された対韓挑発というほかない。日本の右翼勢力が時折、妄言を発
言しても外務省をはじめとする日本政府が鎮火に乗り出す様子も消えた。まるで、韓
国がどのような出方をするのか試しているかのように挑発の度合いを増してきた。
 日本は20世紀が始まる前に韓国を植民地化し、収奪、侵略、虐殺を通じて近隣諸国
に癒せない傷を与えた加害者だった。
 この加害者である日本が第2次世界大戦時の被爆体験だけを拡大し表に取り上げ、
加害者から被害者に姿を変えようと絶えず試みて来たのが戦後60年の日本の歴史だ。
 にもかかわらず、日本は米国に対して公式的にも、また教科書の記述を通じても
「(日本の)太平洋戦争は正当だった」という主張を提起したことがない。一方、日
本は植民地支配、強制動員、虐殺などで被害を与えた周辺国には事実歪曲を繰り返す
ことによって過去の傷に塩を塗ってきた。
 日本の戦後対外関係史におけるこうした「卑屈」と「ごう慢」という両面が、経済
力を土台にし国連安保理をはじめとする世界政治の舞台に上がろうとする日本の政治
的抱負を挫折させる主な原因だった。
 「卑屈」と「ごう慢」という二つの顔は、韓国と中国に対する二重的態度において
如実に現れる。
 小泉首相の靖国神社参拝に対し、中国から激しい抗議を受け、日本はこれといった
反論をしなかった。にもかかわらず、韓国には露骨な教科書歪曲と「独島は日本の領
土」という領土侵犯への意志まで公然と明かし、駐韓日本大使が前面に立つ姿を見せ
た。
 大韓民国政府は韓国が日本にどのように映っているがために、この時期にどうして
日本から度重なる侮辱を受けるのかを冷静に顧みながら反省しなければならない。
 国家としてどれほど無力に見え、外交的にどれほど無能に映り、同盟の選択におい
てどれほど愚かに見えたかを自ら問い詰め、民族の自尊心と領土の保全、国民の保護
という国家としての使命を果たすべく生まれ変わる必要がある。
 「私の任期中、過去史問題を再び取り上げない」という盧武鉉(ノ・ムヒョン)大
統領の発言も国民とメディアが問題視する前に、政府内で論議がなされ整理されるべ
きだった。
 政府は日本のこうした波状的な攻勢が韓国が国際的に孤立しつつあると見て、そう
した情勢に便乗し利用しようという戦略的計算が働いていないか明確に判断しなくて
はならない。
 政府が国家と国民の尊厳と安全を守ることができなければ、国民自ら自衛に乗り出
すしかない。

「東亜日報」05/03/11

 扶桑社教科書、侵略戦争を美化…教育団体が歪曲の実態を分析

 日本の右翼団体「新しい歴史教科書を作る会」が支援する「扶桑社」による中学校
歴史教科書の2005年検定申請本は、2001年の検定本に比べより巧みに日本の
侵略を美化し、歴史を歪曲している。
 「アジア平和と歴史教育連帯」(教科書運動本部・共同代表、ソ・ジンソク成均館
大学歴史学科教授)は、扶桑社教科書の検定申請本の内容を分析し、11日公開し
た。
 申請本は、近代以前の韓国史について一層従属性と他律性を強調し、日本の侵略を
朝鮮半島の門戸開放として歪曲している。植民支配も近代化という名で合理化し、日
本の侵略戦争を不可避なものと美化している。
○「朝鮮半島は他律と従属の歴史
 朝鮮半島の古代史に関する記述は2001年版に比べると、一段と悪化している。
同教科書は26ページで漢四郡の1つであった帯方郡の中心地を、主流の学説でいわ
れているよりずっと南である現在のソウル付近と説明している。これは北朝鮮の黄海
道鳳山(ファンヘド・ポンサン)地域が帯方郡の中心地という学界の一般的判断から
かけ離れている。32ページに掲載された4世紀末の地図には、313年に高句麗に
よって責め滅ぼされた楽浪郡が、続けて平壌に存在しているように紹介されている。

 朝鮮半島南部の加羅地方に日本の植民地だった任那が存在していたという任那日本
府説についての記述はもっと増え、地図の上では任那の領域を加羅と馬韓(全羅道地
域)まで拡大して表した。これは朝鮮半島の北部は中国、南部は日本によってそれぞ
れ支配下にに置かれて状況で韓国の歴史が始まったという見方が反映されたもので、
過去の植民史観の二番煎じにほかならない。
 また、申請本は新羅は唐の従属国(42ページ)で、朝鮮は青の従属国、朝貢国
(148ページ、163ページ)だったと記している。
○朝鮮半島の植民支配を合理化
 前回で「朝鮮半島が大陸から一本の腕のように突き出ているので、敵対的な大国の
支配下に入れば、日本を脅かすことになる」と表現した部分を、今度はコラム(16
3ページ)として拡大紹介し、日本が安全保障のために朝鮮の近代化を手伝ってやっ
たと植民支配を美化した。教科書運動本部は朝鮮関連部分で2001年版では1回登
場しただけの「近代化」という言葉が、今回の申請では4回も登場していると指摘し
た。 韓日強制併合については「韓国内の一部からでも併合を受け入れようとの声が
あった(170ページ)」と表現しているが、これは2001年『自主訂正』という
ことで自ら削除した部分を復元したものだ。
 一方、植民地侵奪に関する描写は脱落、縮小したり、和らげた表現を用いたりして
いる。2001年に故意に脱落させて最大の問題になっていた植民支配期の朝鮮人強
制連行と従軍慰安婦に関する内容は、以前と同様抜けている。
 「植民支配下の朝鮮人に対し、さまざまな犠牲と苦痛を強制した」という文章も削
除された。また、2001年版では「創氏改名を強要し皇民化政策を強制した」と
なっていた表現を、「日本式の声明を名乗ることを認める創氏改名が行われ、朝鮮人
を日本人化する政策が進められた(208ページ)」と強制さを和らげた。
○侵略戦争の歪曲と美化
 日露戦争については、ロシアが韓国北部に伐木場を設置したことを軍事基地の建設
かのように見せかけ、安保危機から両国の戦争は避けられなかったと記述した部分は
変わらなかった(166ページ)。日本の勝利については、「植民地になった民族に
独立の希望を与えた(168ページ)」と表現し、日本が朝鮮人を帝国主義の圧制か
ら救い出した解放者でもあったかのような間違った観点から記している。
 大東亜戦争と太平洋戦争については、日本の自尊自慰のための戦争(202〜20
3ページ)と位置づけた。また、終戦後にあった賠償などの事実は記述せず、日本軍
の兵士が東南アジア各国の独立戦争に参加したという内容を加え、大東亜戦争がまる
で植民地解放戦争であるかのように書き表している(206〜207ページ)。
 全体的に申請本に新たに登場した「歴史の名場面」という5つのコーナーのうち、
4つが戦争や軍隊と関係がある内容になっていることや、第2次世界大戦と植民支配
の最終的な責任者とも言える裕仁天皇を教科書の終わりの部分に配置したことなど
も、軍国主義の印象を与えている。










 
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