「中央日報」05/03/10

「日本の独島領有権主張について謝罪」

  「日本の独島(ドクト、日本名・竹島)領有権主張について、日本の改革派教会信
徒をかえて、謝罪の意を申し上げます」。日本の改革派教会の牧師と信徒ら8人が、
10日、大邱(デグ)の大神(デシン)大学で講演した後、日本のキリスト教徒をかえて謝罪の意を示した。
  大神大が光復(独立)60周年と韓日国交正常化40周年を迎えて開催したこの日
の講演会に、知韓派とされる石川県・金沢教会の漆崎英之牧師と
WAO(We Are One)宣教会の団長が、相次いで謝罪の意を伝えた。


平成17年/03/10

「竹島の日」条例案、島根県議会の委員会が可決

 日本の竹島(韓国名・独島)に関し、超党派の島根県議が議員提案した「竹島の
日」を定める条例案が10日の県議会総務委員会で、賛成多数で可決された。
 条例案には韓国側が猛反発しているが、16日の本会議で可決、成立する見通し。
 条例案は、竹島が県の一部となって今年で100年になるのを機に、県が告示した
2月22日を「竹島の日」とするよう求めており、「領土権確立を目指した運動を進
める」との文言も盛り込まれている。県議38人のうち、超党派の議員35人が2月23日に提案した。
 超党派の「竹島領土権確立県議会議員連盟」会長の細田重雄県議は「国には何度も
領土権確立や『竹島の日』制定を陳情してきたが、動いてくれなかった。条例で竹島
問題の関心を高めたい」と話している。
 今年は日韓国交正常化40周年で「友情年」と位置付けられているが、韓国側は提
案後、県と姉妹提携する慶尚北道が交流の中断を表明、外交通商省も「条例案の即時
廃棄」を求めるなど、猛反発。日本の外務省首脳も日韓関係の悪化を懸念して批判した。
 外務省北東アジア課は「地方議会のことに国が口出しできず、コメントは控えた
い。本会議で可決されても同じだ」、韓国大使館は「大使館では個別の問題にコメントはできない」
としている。


平成17年/03/10

竹島条例で島根に文書 外務省
韓国の反応まとめる

 日本と韓国で領土権が対立している竹島(韓国名・独島)について島根県議会の議
員連盟が「竹島の日」を定める条例案を提案して以降、批判を強める韓国の反応をま
とめた文書を、外務省が島根県と県議会に送っていたことが、九日分かった。県議会
の一部からは「暗に自制を求めており、政府の熱意が見えない」と、批判の声が上がっている。
 県総務課によると、文書は今月二日、外務省北東アジア課からファクスで送られて
きた。二月二十三日の提案後にあった韓国政府の声明や韓国国会文化観光委員会の条
例案撤回を求める決議、反対運動など、条例案をめぐる反発の動きを列記している。
 文書には「町村信孝外相から知事と県議会議長に見せるよう指示があった」との内容の
メモが添えられていたという。
 外務省北東アジア課は「単なる情報提供だ。条例案の制定は、県議会の判断であり、
国がコメントする立場にない」としている。
 宮隅啓議長は「文書は、韓国向けの外務省の『セレモニー』とも受け取れる。
主張すべきは主張し、竹島問題に対して汗をかいてほしい」と批判した。


「朝日」05/03/11

日韓波紋、本意と離れ 「竹島の日」条例案可決
訪日延期や交流途絶 韓国、世論の拒否予想以上

昨年12月、鹿児島県指宿市で記者会見する小泉首相と盧韓国大統領。首脳会談で
は、国交正常化40周年にあたる05年の「日韓友情年」の成功に向けた協力に合意していた
 東京ドームの約5倍、日本海に浮かぶ竹島が、その両岸に望む日韓両国をきしませ
ている。きっかけとなった島根県議会の「竹島の日」制定条例案は10日、総務委員
会で可決された。韓国政府が反発を強めれば、日本政府は県側との板挟みで戸惑うば
かりだ。しかし、この問題で角突き合わせたくないのは両政府とも同じ。島根県議会
も日韓関係を危うくするのが本意ではない。なのに騒ぎが広がっていくのはなぜか。
 
「竹島の日は、2月22日とする」――。わずか3カ条からなる条例案は、日韓両
国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)の「領土権の早期確立」をうたう。
 「竹島問題を知らない県民がいる。世論を喚起し、国に対応してもらわないといけない」。
島根県議会の総務委員会で10日午前に始まった条例案審議で、内田敬県議はそう主張した。
 自民党系が8人、民主党系が2人。10人の委員中9人までが超党派の「竹島領土
権確立県議連」所属だ。そもそも欠員を除いて38人いる県議のうち、35人までが
条例案提案に名を連ねている。
 
審議では「条例提案で日韓交流に支障が出かかっている。どうするのか」と懸念す
る声も出た。だが議連会長の細田重雄県議らは、県の漁業者が拿捕(だほ)されるな
ど被害が続いたことを説明。委員会で唯一、提案者でない小室寿明県議が「外交権を
持たない県議会が条例制定して、責任を果たせるのか」と訴えたが、条例案は可決された。
 今月2日には、外務省から県側に韓国の反発ぶりを列挙した文書がファクスで送ら
れた。内田氏は「圧力と受け止めるが、条例案の取り下げは韓国の言いなりになる。
今日の可決で、日本政府は眺めているだけじゃ済まなくなる」といい、韓国の反発は
「反応しすぎだ」と退ける。
 
ただ、県民の反応は一様ではない。竹島の領有権確立を求める運動の先頭に立って
きた県漁連の岸宏会長(61)が「最終目的は領有権の確立。世論喚起は1ステップ
に過ぎない」とすれば、在日本大韓民国民団島根県地方本部の洪淳永団長(67)は
「ここ十数年、青少年の相互訪問などで県と韓国側の交流が深まった。このままでは
交流断絶になり、双方に大きなマイナスだ」。

 韓国側は、条例案は「日本が仕掛けてきた、これまでとは違う組織的な動き」(外
交当局者)とみる。委員会での可決に、韓国外交通商省は「本会議で可決されないよ
う、日本政府として何らかの働きかけをして欲しい」と在韓日本大使館に伝えた。韓
国政府高官は「当面、結果を見守りたい。地方自治の問題で、中央政府が動きにくい
ことは承知だが、万一、可決・成立すれば『国土を守る』という次元で多角的な対策
を講ずるしかない」。
 盧武鉉(ノムヒョン)政権は、竹島に施設などを置いて実効支配する一方、「日韓
間に領土問題はない」と争点として先鋭化させることは避けてきた。竹島に政府要人
が上陸しようとしたり、業者が定期航路を開こうとしたりした際には、水面下で自粛
を求めたこともある。
 ところが最近は「独島問題は韓日関係より上位の概念にある」(潘基文・外交通商
相)と強硬姿勢だ。背景には、日本の領有権主張が明文化されることへの世論の拒否
反応が予想以上に強く、その圧力を無視すれば政府の信頼失墜に直結するという危機感がある。
 
さらに、昨年来の歴史の見直し運動のなかで、韓国政府自身が戦争犠牲者らの補償
に踏み出す方針を打ち出したことへの不満も、与野党を問わずくすぶっている。「日
本の責任を棚上げし、優しすぎる」というわけだ。条例問題は、そうした中で持ち上がった。
 潘外相の訪日も延期されたが、条例案採決を前に国内批判を懸念しての「緊急避
難」と受け止められている。「いま韓国は、主権の断固たる立場を主張するしかな
い」。政府関係者は、そんな苦しい胸のうちを語る。
 その外相訪日延期の知らせに、日本では外務省首脳がこうつぶやいた。
 「せっかく友情を育もうと色々と楽しい企画も考えていたのに」
 潘外相の訪日日程は2月中旬に韓国側から伝えられ、日韓外相会談のほか、小泉首
相や細田官房長官との語らいの場もセット。「日韓友情年」を確かめ合う場を演出する狙いだった。
 だが、外相に続き、日本側には韓国外交通商省のアジア太平洋局長の訪日延期も最
近伝えられた。島根県側に文書を送ったのも、「地方自治に関することを政府が統制
する法的枠組みはない」(外務省幹部)なかで苦肉の策だった。
 
「もう手遅れだ」。島根県選出で自民党の青木幹雄参院議員会長は、条例案が県議
会に提出された際に周囲にこう漏らした。いったん議会に提出されたら成立まで止ま
らない――。そんな地元の空気を察していた。
 衆院島根1区選出の細田官房長官は10日の記者会見で「基本的には島根県の問題
だ。島根県や県議会から、この問題は政府で取り上げるようにとの要請が相当強く何
度かあったが、いろいろ検討した結果、そういうわけにはいかないと断った」。打開
へ妙手は見あたらず、外務省からは「時間をおいて互いに冷静にならなければ外相会
談もセットできない」(幹部)との声も漏れる。
 
事態がさらに広がるおそれも出てきた。潘外相が9日の会見で「日本の一部政治家
などが歴史を正しく認識せず、韓国の国民を刺激している」と語ったことを外務省関
係者は重く受け止めた。条例案をきっかけとした両国のすれ違いが、歴史問題をめぐ
る対立へと広がりかねないからだ。中学校歴史教科書の検定発表が予定される4月初
旬までもつれ込めば、さらにこじれる可能性もある。
《キーワード》竹島 隠岐諸島の北西157キロにあり、東島、西島と数十の岩礁か
らなる。島根県隠岐の島町に属し、面積は約23万平方メートル。島の周囲は絶壁で
立ち木もないうえ、飲料水の確保が難しく、常住には適さない。ただ、一帯はカニやアワビ、
ワカメなどの魚介類が豊富。
 1905年、日本政府が閣議で「竹島」と命名して、日本領土への編入を決定。政
府の訓令を受けて同年2月22日、島根県が帰属を告示。今年は100周年になる。
 一方、韓国は、この領土編入を無効と主張。52年に竹島を含む水域の主権宣言を
行った。以来、日韓双方が領有権を唱える状態が続いている。
 竹島には、韓国当局が灯台や見張り台、兵舎、警備員などを置き、実効支配してい
る。韓国政府は04年1月には竹島をデザインした切手を発行。日本政府が抗議した。


◇竹島をめぐる動き
1905年 竹島の日本領土編入を閣議決定(1月)。島根県が帰属を告示(2月)。
第2次日韓協約で、日本は韓国の外交権を奪い保護国にする(11月)
  10年 日韓併合
  52年 韓国が「李承晩ライン」設定、竹島を取り込む
  54年 韓国、竹島に武装要員の駐屯開始。日本政府、領有権問題の国際司法裁
判所への付託を提案、韓国側が拒否
  65年 日韓基本条約に調印し国交を正常化
  78年 韓国、竹島に12カイリの領海を宣言
  96年 韓国、竹島に接岸施設着工
  99年 新しい日韓漁業協定発効、領土問題を棚上げし竹島周辺に暫定水域設置
2004年 韓国、竹島の図柄の切手発行
  05年 島根県議会、「竹島の日」条例案を議員提案(2月23日)


「産経」平成17年/03/11

産経抄

 島根県議会が二月二十二日を「竹島の日」とする手続きを進めている。きのう委員
会を通過し、来週の本会議で成立する見通しだそうだ。隠岐の北西一六〇キロの日本
海に浮かぶ、わが国の領土が隣国の不法占拠下に置かれて半世紀。
世論を喚起する試みにエールを送りたい。

 これに韓国が反発し、外相の来日予定を延期したりするのは予想されたが、国内で
も反対の声があがったのはどういうことなのか。竹島は日本固有の領土ではあるが、
あまり騒ぐと日韓関係を悪化させる−要約すれば、こんな意見だ。しかし、沈黙は現状追認と同じだ。

 政治部の記者によると、竹島に警備隊を常駐させている韓国では、「独島(竹島の
韓国名)地方の天気予報」が流され、教科書にも「独島問題」が載っている。その是
非はともかく、主権にかかわる問題について、国民に知らせる努力を欠かしていない。
 翻って日本で、どれほどの人がこの問題を真剣に考えているのだろうか。政府・外
務省も竹島は「わが国固有の領土」であり、「(韓国による)不法占拠」の状態にあるとしながら、
手をこまねいている。
 わが身を顧みても心細い。大学生のとき北海道・納沙布岬へバイクを走らせたこと
がある。そのころはまだ、領土問題に特別に関心があったわけではなかったが、暗い
灰色の海を前にした途端、ふだん感じたことのない重さに身が震えた。
 この先の日本の領土にはいま、言葉も価値観も違う人たちが暮らしている。その不
可解さ。それまでの自分の想像力の乏しさが笑われた。「百歩は譲っても、百一歩は
譲れない」。こじれた人間関係を言った言葉だ。謙譲は日本人の美徳だが、
際限なく譲ると自分を失う。領土とはこの譲れない一歩だ。



 
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