05/01/03
中国原潜侵犯 離島防衛、日米で強化 共同訓練・拠点を協議
中国原子力潜水艦の領海侵犯を受け東シナ海の離島防衛を強化するため、防衛庁は
二日、「離島侵攻」を想定し、離島への共同輸送拠点設置や共同訓練の実施など、陸
上自衛隊と米軍の共同対処を強化する方針を固めた。近く本格化する米軍の「変革・
再編」をめぐる日米協議でも、軍事力を増す中国が主要テーマとなり、中国が南西諸
島に侵攻する危険性を想定した共同対処が議論される見通しだ。
昨年十二月に決まった次期中期防衛力整備計画(平成十七年度から五年間)で海
上・航空自衛隊について空中給油・輸送機、ヘリ搭載護衛艦、P3C哨戒機の後継機
などの整備が盛り込まれた。しかし、陸自と米陸軍・海兵隊の将官レベル協議では、
中国原潜が領海侵犯した先島諸島(南西諸島の一部)に陸自が駐屯していないことに
双方が懸念を示し、「領空・領海侵犯」にとどまらず「離島侵攻」も念頭に陸自と米
軍が統合部隊として対応する必要があるとの認識で一致した。
具体的には、三千人規模の第一五旅団(沖縄県)や離島対処部隊として相浦駐屯地
(長崎県)に配置されたレンジャー隊員中心の西部方面普通科連隊(約六百六十人)
と、沖縄に駐留する有事即応部隊の米第三一海兵遠征部隊(約二千人)の連携を強化
する。
有事に備え、離島で日米共同訓練を実施することも検討している。当面は災害対処
を想定した訓練から開始する方針で、地形が複雑な離島では不具合が生じやすい無
線・衛星通信の試験や、中継施設の設営も進める。
現地に陸上部隊を迅速に派遣するため、先島諸島に輸送機の離着陸が可能な共同輸
送拠点も設ける。具体的には、三千メートルの滑走路を持つ下地島空港(伊良部島・
下地島)を利用する案が浮上している。
また、陸自は離島侵攻対処で九州の西方普通科連隊を含め西部方面隊(総監部・熊
本市)などから約九千人を投入すると見積もっているが、先島諸島には弾薬や食料、
燃料も常備されていない。このため、これらの「事前集積拠点」も設置する方針で、
沖縄本島に近い宮古島が候補地に挙がっている。
離島防衛の対処能力を高めるため、陸自はすでに、有事に緊急展開する「中央即応
集団」の新設を決めている。
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