平成16年/11/05

東シナ海電波探知増設 中国情報の収集を強化
防衛庁検討、軍艦や航空機監視


 防衛庁は、航空自衛隊が交信情報や電子情報を探知するための地上電波測定装置の
整備計画を進めているが、平成二十年度の運用開始をめざす沖縄県宮古島に加え、南
西方面でさらにもう一カ所の設置が不可欠と判断、候補地の選定を検討していること
が四日、明らかになった。
 最近、東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)付近での中国によるガス田開
発、中国軍艦艇や航空機の活発な活動などの動きを受けて、中国情報の収集態勢を強
化する狙いがあるとみられる。
 南西方面では、航空機の航跡などをとらえる空自のレーダー部隊がすでに、鹿児島
県の沖永良部島、沖縄県の久米島、宮古島などに展開している。ただ電波測定装置に
よる交信情報や電子情報などは、福岡県背振山(空自)や鹿児島県喜界島(情報本
部)で収集しているだけで、「態勢強化が課題」(防衛庁幹部)とされてきた。
 防衛庁では、来年度予算で電波測定装置のシステム設計などで約一・五億円を要
求、平成二十年度末の運用開始を目指している宮古島以外に、さらにもう一カ所の設
置を計画している。
 これまで対ソ連、対ロシアに情報収集の重点を置いていた空自は、全国二十八カ所
あるレーダーサイトのうち主に北部航空方面隊の稚内、根室、奥尻(北海道)の三カ
所で航空機の航跡捕捉と電波測定装置による情報収集を行ってきた。電波測定装置施
設に配属されている隊員は、主にロシア語専門で、ロシア軍の交信情報やロシア機の
電子情報を二十四時間態勢で警戒監視している。
 しかし、冷戦構造の崩壊や尖閣諸島に対する中国の領有権主張、台湾海峡の緊張、
さらに最近の東シナ海の日本のEEZ付近での中国によるガス田開発や中国軍の艦艇
や潜水艦、航空機の活発な動きなどを受けて、防衛庁では「今後は中国情報の収集が
重要」との認識が強まり、背振山、宮古に次ぐ「拠点」の必要性が強まり、候補地検
討の準備を進めている。
 防衛庁では、福江島、下甑島(しもこしきじま)、沖永良部島、久米島という現在
空自のレーダーサイトがある四基地を候補地としているが、カバーする範囲を相互に
補完する効率的な配置などから福江島と下甑島が有力視され、年明けから本格的な検
討に入る。
 これを受け、空自でも自衛官の語学教育を専門に行っている陸上自衛隊の小平学校
(東京都小平市)に隊員を派遣し、今後重点的に中国語専門官の養成を行う準備を進
める。


平成16年/09/21

陸自沖縄部隊増強へ850人の連隊新設 南西諸島を重視 防衛庁方針

 防衛庁は二十日までに、沖縄に配備している陸上自衛隊第一混成団(那覇市)に約
八百五十人の普通科連隊を新設し、二千三百人規模の旅団に増強する方針を固めた。
宮古島への陸自部隊配置も検討する。
 離島侵攻の危険に対処するため、旧ソ連の侵攻を想定した北方重視の防衛態勢を転
換し、南西諸島への部隊配置強化を明確にするもので、尖閣諸島の領有権をめぐり対
立する中国を刺激する可能性がある。
 防衛庁はテロ、ゲリラなど「新たな脅威」に対処するため自衛隊の装備や配置見直
しを進めており、沖縄の増強案は、同庁の「防衛力の在り方検討会議」(議長・石破
茂防衛庁長官)がまとめた最終報告に盛り込んだ。報告は、年末に政府が策定する新
防衛大綱の素案となり、大綱を受けて作成する中期防衛力整備計画に再配置の具体案
を盛り込む。
 最終報告によると、第一混成群(那覇市)と第六高射特科群(沖縄県・東風平町)
で編成される第一混成団に、普通科連隊を加えて旅団に改組。混成団の実数は現在約
千八百人の定数を割り込んでいるが、旅団は二千三百人規模とし、イラク派遣の陸自
部隊が使用している軽装甲機動車四十両の配備などで、機動力の強化を図る。
 航空自衛隊のレーダーサイトが設置されているだけで、部隊が「空白」となってい
る宮古島にも陸自部隊を配置。離島の情報収集能力向上のため、九州全域を管轄する
陸自西部方面隊に「通信情報隊」を新設し、無人偵察機も新たに配備する。
 防衛庁は航空自衛隊那覇基地所属のF4戦闘機部隊を、機動力の高いF15戦闘機
部隊へ変更することや、台湾に近い下地島への戦闘機の移駐など南西方面の態勢強化
を目指している。








 
inserted by FC2 system